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歳の差なんて
第七章
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先生を手を振って送ると早速デザートに戻った。そのうえでジェラートに向かいつつ二人の話を再開するのだった。
「まずはカラオケでお酒を抜いてプールね」
「どれだけ泳げるの?」
「時間があればあるだけ」
 はっきりと答える美香だった。
「五十メートル五十秒位かしら」
「五十メートルを五十秒ね。平泳ぎよね」
「ええ」
「早いんじゃないの?」
 美香に返す奈緒だった。
「私は五十五秒位かしら」
「そんなところなの」
「これでも結構泳いでるのよ」
「私スイミングスクールに行っていたから」
 それぞれ泳ぎには造詣があるようである。
「だからね。泳げるんだけれど奈緒もそうなの」
「あれが一番体力使うからね」
 こう美香に話すのだった。
「それでなのよ」
「運同不足解消ね」
「そうよ、これだけ食べたらやっぱり」
「何もしなかったら太るわね」
「確実にね」
 だからなのだった。答えは必然的に出てきていた。
「だからよ。走ったりもするけれど」
「そういえばあんた高校の時は」
「今でもそうよ、テニス部」
 優雅でスマートに見えて実はかなり激しいスポーツである。奈緒はそれを中学の時からやっているのだ。ちなみに美香はバスケ部である。小柄だがバスケが好きなのだ。
「気持ちいいわよ、やっぱり」
「そうなの。けれど今は水泳なのね」
「ええ、それは」
 奈緒の返事は変わらない。
「それが一番だからね」
「ダイエットにはね」
「そういうことね」
「ええ、そういうことよ」
 にこりと笑って美香に答える。こうして次の行く先も決まったのだった。
 水泳もサウナもカラオケも終わった頃には既に終電の時間だった。最後の電車に乗ってそれから少し落ち着いて美香は奈緒に対して尋ねてきた。
「ねえ奈緒」
「何?」
「あの先生だけれど」
「ああ、桐谷先生ね」
 奈緒は思い出したように美香の言葉に頷くのだった。
「小島恭介じゃなくて」
「あの馬鹿じゃなくてよ」
 二人の高校にいた同級生の一人である。あまりにも行動が愚かなので恐竜並の知能の持ち主とさえ言われていた。そんな人間だ。
「っていうか何であいつの名前が出るのよ」
「いや、何となく」
「そういえばあの馬鹿は予備校なの?」
「さあ、どうなったやら」 
 知らないというのである。
「どうとでもなるんじゃない?あんな奴」
「そうね。朝倉とあいつだけはどうなっても気にしないわ」
「本当にね」
 その小島と同じく学校きっての愚か者と言われていた二人だ。ただ知能が低いだけではなくて人間的にもかなり嫌われていることが二人の会話からわかる。
「それでよ。その桐谷先生」
「先生がどうかしたの?」
「いい人みたいね」
 こう奈緒に言うのだった。
「優しくて親切で礼儀正
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