受け継がれた意地
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晃が取り払ってしまった。
徐晃隊が持っていたのは、“徐晃のように女を守りたい”という想い。
決して女を見下しているのではない。契りを交わした妻を守る夫のように、愛の結晶の子供達を守る父のように……自分達こそが守る側であると示したいだけ。守りたいモノに守られるなんて真っ平御免だという意地。
つまり、歴史を辿って行く上で積み上げられて来た先入観に喧嘩を売っていたわけだ、あの徐晃隊という狂信者達は。
端的に喧嘩と表現して、なるほど、と自分で納得する。
これ以上無くしっくり来た表現であった。可愛くも聞こえる子供っぽい響きはおあつらえ向きと言えた。何故なら……黒麒麟が作り出した身体達の死に顔は、それほど純粋なモノだった。
徐晃隊の始まりは『女を守りたい』という単純にして明快で、バカらしくも圧倒的な心力。華琳の親衛隊は、皮肉な事に華琳自身が少女である事を周りに“認めさせない”為に絶対にソレを持つ事が出来なかった。
黄巾の乱、というモノが如何にして起こったかを思い返せば、ソレがどれほどの結束や絆、想いを波状効果と相乗効果によって強くさせるか、判断出来ない華琳では無かった。
「ふふ、ホントにバカね。男というのは」
貶しながらも棘は無く、楽しさを含んでいた声に自分でも驚いた。
よもや覇王が“男に守られたい”などと、少女のような想いを宿しているのではあるまいな……そうして頭に響かせた言葉で自分の想いを再確認し直した。
だから彼女は今から秋斗と詠がする事を黙認する。兵達個人個人が胸の内に秘めるならばその想いを尊重するだけだ、と苦渋の選択……否、意地を張った最終線として呑んだ。
華琳は……女である事を理由にして、私を守れなどと、天と地が引っくり返っても命じれるわけが無い。
これから秋斗は導くだろう。
結局は守られる側である兵士達の自尊心を叩き潰し、その上で導きの指標を打ち立てるだろう。華琳にとっては最も不快で、最も不愉快な指標を。
それでも、華琳は是とした。
有力な兵士は欲しい。特に親衛隊であればあるほど。
不快だから、嫌いだから、苦手だから、嫌だからと避ける事はせず、有効であれば取り入れる。
黒麒麟の身体を上回る部隊を作り上げて自身の方が上だと示す為、なんて意地を張った理由も、少しばかりはあった。それに、守られるなどとは、彼女は露とも思っていない。守る側は自分だと、最頂点に位置するが故に理解している。
ふいに、彼女の耳にはからからと笑う声が聴こえた気がした。秋斗に……否、黒麒麟に笑われている気がした。
親衛隊に介入させるのは自分の意思で命じたとしても……黒麒麟に、守ってやる、と言われているようで不愉快極まりなかった。
春蘭達に言われるならまだしも、今の秋斗であってもそう言ってくる姿を思い
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