受け継がれた意地
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てのしこりも無く、むしろ前よりも親衛隊らしくなったと言える。
あと一つ解決すれば雛里に聞いた戦術の全てを再現出来るようになるだろう。
問題は……副長のような兵達の指標が居ないこと。それさえいれば私の為だけの部隊が出来上がるのに。
そこでイラつく考えが浮かぶ。
――徐晃を私の補佐に付ければ確かに出来上がるけれど……
親衛隊として徐晃を置くのは認められない。
春蘭達が反対するのは目に見えている。将として扱わないのも勿体ない。何より私が描いている軍の柱の数には必要不可欠だし、周りから何か勘ぐられるのも鬱陶しい。
何より……意地がある。
男になど守られたくない。女子供のように守るべきモノという目で見られたくない。お前は私の下に跪いてこそ、そうじゃなければ意味がない。
其処まで考えて、無性に腹が立ってきた。同時にいいことも思い浮かんだ。
「あと、詠と月に心配を掛けた事、しっかり償っておきなさい」
「う……でも――――」
「言い訳は却下よ。例え詠と月が許してるとしても、彼女達に誠意を示しなさいな。優しさに甘えるのは私の親衛隊に影響を与えたモノとしてどうなのかしら?」
「……何が出来るか考えとく」
――ホント、子供のような男だ。私といる時に気を抜き過ぎ。自然体で構わないとは言ったけどもう少し張りを……ああ、ダメだ。また乱されてる。
思考が乱されてしまった。腹立たしい。劉備も似たような感じだったけれど、こうまではならなかった。
ため息を一つ大きく落とした。自分への呆れを込めて。徐晃への苛立ちを込めて。
「はぁ、まあいいわ。とりあえず明日からのあなたにして貰うことを。
真桜……李典の工房へ向かいなさい。春蘭の手伝いと街の改善はしばらく投げていい」
「李典殿の? 技術者って聞いたけど、なんか作ってるのか?」
「工房に籠ってるのは部下達の武器を強化する為。あなたにはね、次の戦で使う兵器が出来てるから、より有意義な改善が出来るかどうか話し合って貰いたいのよ。雛里から今までに無い新兵器の案を出せるとも聞いてるから、それも含めて練り上げなさい。出来れば短期間で開発、使用できるモノがいい」
「ちなみに出来てる兵器ってのは?」
「どうせ知るのだからあなたには言っておいていい、か……組み立て式の投石器よ。敵が動く櫓を使ってきたからそれの対処に当てたいの」
目を見開いた徐晃は瞬時に思考に潜った。戦の事を考える徐晃はいつもより真剣に見える。
「……新兵器の開発ってのは……他にも敵が新しいモノを使ってくるかもしれないからか?」
そういう所ばかりよく頭が回る。まあ、会話が楽なのはいい事か。
「そうよ。袁家には潤滑な資金があって、既に使った兵器の対策を私がしているのは当然、と考える軍師
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