受け継がれた意地
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か?
否、彼らの想いは彼らだけのモノ。我らだけの想いを世界に打ち立てよう。我らは覇王親衛隊。可憐な華々を輝かせる日輪の光を守り抜く事こそ、我らが生き様。
「華々に……光あれ……」
ぽつりと、一人の兵士が呟いた。
己が死せども、日輪は生きるのだから、そう願えばいい、と。俺達が守るから輝いていればいい……輝いて想いと命の華を照らして欲しい、と。そして美しく澄みきった華の名を持つ覇王にも、栄光と安らぎの光があらんことを、と。
秋斗は笑っていた。想いが咲き誇る瞬間に立ち会える事が嬉しかった。
――華々に光あれ
ぽつぽつと声が広がっていく。一人一人が想いを証として胸の内に刻んで行く。
声が纏まり、願いが収束されていく。彼らの想いが一つとなっていく。
『華々に光あれっ!』
たった一つの大きな願いとなりて、彼へと、否、世界に打ち立てられた。
秋斗は子供のように笑う。黒麒麟が証を打ち立てた時にどんな心境であったのか、少し分かった気がした。
「さあ……乱世に華を、咲かせよう。お前らはお前らの、俺は俺の、自分達の意思と意地で……大切なもんを守り抜いてやろうぜ」
蛇足〜意地持つは男だけに非ず〜
「……私はあんなことまで許可していないのだけれど?」
目の前ではゆったりと椅子に腰かける徐晃。二人きりで会うのは娘娘以来だった。
演習日から数日経って親衛隊の練兵に向かえば、徐晃隊が掲げていたように願いの証を……私の許可なく持っていた。一応、他の兵に広めるのはやめろと釘を刺しておいたけど、元より親衛隊以外には広めるつもりも無いようだった。
不愉快だ。心底不愉快だった。その願いの内容を詳細まで聞けない、というのが余計に腹立たしい。
――この、道化師め……黒麒麟の真似事なんかするな。
舌打ちを一つ。
言葉に想いを乗せるには本気で感情を込めなければ乗らない。だから……こいつは演じてたわけでは無い。ただ純粋に、自分の身の内から言葉を零しただけ。黒麒麟がした事を今の徐晃が真似しただけ。
つまり、私の精兵達の心を動かして纏めるようなモノが、今の徐晃にはあったのだ。
「なら上書きすればいいじゃないか」
挑戦的な目で私を見て来た。
この男……私がそれを出来ないと分かっているくせに。苛立ちがさらに増していく。
「……ふん、するつもりは無いわよ。兵同士の結束も固まったし、演習での動作も連携も違和感が無くなったのだから。望む水準、には足りないけれど及第点を上げる。その代わり余計な事をした差し引きで褒美は無しよ」
兵達の絆が深まった、というのは大きい。季衣と流琉に対し
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