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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇3
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だよう。アタシだって当たるとは思わなかったんだ。だから、だから、御慈悲を……。皮を剥ぐ前にせめてとどめを……」
 地面に座り込み、慈悲を乞う。何か視界が滲んできた。
「皮なんて剥ぐか。もちろん、殺しもしない」
 その言葉に、アタシは震えあがった。恐る恐る訊ねる。
「……え? じゃあ、アタシなんかじゃ想像もつかないような、もっと酷い事を……」
「するかバカ野郎!」
 いつになく乱雑な口調で怒鳴ってから、光が立ち上がる。その右腕を、握り潰さんばかりに掴みながら。
「命が惜しければ、素直に退け。……この一件にケリがつくまで、姿を見せるな」
 少しだけ乱れた息を誤魔化しながら、光が魔導師に告げる。それは光だった――が、あの怪物が今もどこかで牙をむき出しにしているのが分かった。その怪物は、隙あれば三度彼を乗っ取るだろう。
≪アンタ、ここは素直に退いときな! 今のコイツは、何かおかしい!≫
 向こうがどれほど彼について知っているかは分からないが――こんなのはアタシ達の知る御神光じゃあない。得体の知れない何かに振り回されて、そんなにも無様に殺気をむき出しにするなんて、全くらしくないじゃないか。
「ク……。光さん、今度会った時は、ちゃんと話を聞かせてください!」
 その魔導師が躊躇ったのは間違いない。だが、今の光とまともに会話ができると考えるほどには楽天的ではなかったようだ。言い残すと、一目散に走り去っていく。方向は――当然ながらフェイトと、光の妹がいる方向だった。だが、今すぐに『光の関係者』に手を出すほどの無謀はしないだろう。それに、あの少女相手にフェイトがてこずるとも思えない。入れ違いになると考えるのが現実的だろう。
 ドン、と何かが気にぶつかる音がした。振り返ると、アタシが叩きつけた木に再び背中を預け、ずるずると座り込む光の姿があった。いくら何でも、それほどのダメージがあったとは思えないけれど……それでも、恐る恐る声をかける。
「……大丈夫かい?」
「何とかな」
 今も固く右腕を握りしめながら、光が呻いた。――右腕。それが異変の鍵であるらしい。常に包帯に包まれた、その右腕。
「怪我でもしているのかい?」
 血の匂いは感じなかった。いや、今は僅かに感じる。右腕を握りしめ続ける、左手の爪が右腕の皮膚を抉ったのだろう。
「いや、そうじゃない……」
 こんな時だというのに、光はうっすらと笑っていた。そして、相変わらず訳のわからない事を言う。――どこか少しだけ、嬉しそうに。
「恩師の忘れもの……いや、かつての自分の、かな」




(光の妹さん、か……。確かに凄い才能だけど)
 今のままなら、勝つのは私だ。彼女の砲撃を掻い潜りながら、確信を覚える。光の妹が使うのは、私達と同じ魔法。今までの攻撃からして、遠距離からの砲撃魔法
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