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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇3
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はないはずだ。そうでなければ、光が突然豹変した理由が分からない。
≪やっぱり、あの子を巻き込んだのは失敗だったんじゃないかい?≫
≪それは今たっぷり痛感してる!≫
 呑気に話していられたのは、そこまでだった。ついに光が――光の姿をした怪物が動き始める。一瞬で魔力が膨れ上がった。
「死ね」
 冷酷な宣告。それに従い、回転する五つの刃が一斉に魔導師に襲いかかる。
「待って! 光さん、話を聞いてください!」
 叫びながら、その魔導師は何とかその刃を回避する。的が小さいという事もあったのだろうが――いや、違う。この怪物は、そんなヘマはしない。
(遊んでるんだ……)
 肉食獣としての本能が、冷静に伝えてくる。殺す気なら、いつでも殺せる。その確信の元で、玩具にして遊んでいるにすぎない。ただの気まぐれで生かされているだけなのだから――ただの気まぐれで殺される。そして、その時が来るのは時間の問題だ。
「ああクソ! こういう場合アタシはどうすりゃいいんだい!?」
 あの魔導師を守った方がいいのだろうか。だが、今の光ならアタシも殺しかねない。それに、この魔導師がいなくなれば自分達の脅威は一つ減る。けれど、その為にコイツを人殺しにしていいものか。ここでコイツにあの魔導師を殺させれば、何か致命的に取り返しのつかない事になる。そんな直感があった。それは、管理局にいよいよ指名手配されるといったようなことではなく、もっと根本的は破滅だ。だけど、しかし、けれど――!
「ああああっ! 正気に戻れ、この大バカ野郎おおおぉっ!」
 様々な葛藤の中で、覚悟を決めて……というより、素直に自棄になって、光――だと思うその相手に殴りかかる。まぁ、正直に言えば、当たるとは思ってなかった。それどころか、掠るとも思えなかった。いや、それどころか――
(あ、こりゃ死んだね。アタシ……)
 それが本心だった。我ながらバカな事をしたもんだ――拳を放つ瞬間、そんな事すら思った。だが、
「ありゃ?」
 ガスッ――と、我ながら惚れ惚れするような手ごたえと共に、光の身体が吹き飛ぶ。今までとは別の意味で殺されそうな気がした。
「ああああああッ!? ちょっと待って! 話せばわかる! 冷静になろう!?」
 近くの木に叩きつけられられる光を見送りながら、悲鳴を上げていた。このままいくとリアルに湯けむり殺人事件に――というか、何か知らないうちに旅館の敷物が一枚増えてました的な血みどろ猟奇展開に!
「生きたままゆっくりじっくり皮を剥がされた挙句塩漬けにされるのは嫌あああッ?!」
「……お前、俺を何だと思ってるんだ?」
 脳裏に浮かび上がった未来図に悲鳴を上げていると、のろのろと光が身体を起こす。
「しかし、どうしたんだアルフ? 今日は随分と冴えているじゃないか」
「うううう……。偶然なん
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