魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇3
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は自分でユーノ君に協力してるの!」
自分達の間に立ちはだかり、叫んだのは――誰だった? この少女は誰だ?
(チッ……。厄介な)
妹――なのはの声に、何とか正気に戻る。一瞬だが、完全に衝動に飲み込まれていたらしい。……いや、隙あらば今すぐにでもまた飲み込まれかねない。よくもまぁ、あの二人はこんなものをいつまでも抱えていられたものだ。改めて恩師と、彼の最初の相棒だった彼女に感心する。
(クソ、忌々しい……)
見慣れた形に戻った自分の右腕を見やり、舌打ちする。いっそ右腕を斬り落としてしまおうか。どうせそのうち新しく生えてくるだろう。
(それじゃ意味がないか……)
笑い出したい気分になった。ああ、全く。どうせなら暴走させておけばよかった。そうすれば、この衝動を満たすくらいはできただろうに。
「ごめん、なのは!」
「させるかい!」
衝動に感けて、先手を許してしまったらしい。一瞬だけ視界が歪み――元に戻った時には、見慣れぬ場所にいた。
「空間転位、か……。芸達者な奴だ」
いや、奴らというべきだろう。俺をここまで連れてきたのは、ユーノではない。
「アルフ……。お前なら、アイツくらい一人でどうにでもできただろ?」
しまったとでも言いたげな気配を放つユーノを見やり、傍らのアルフに向かって呻く。
「今のアンタは何かヤバいからね。フェイトの傍に置いとく訳にゃいかない」
「……賢明な判断だ」
今日のアルフは、いつになく冴えている。それに――ちょうどいいかもしれない。ここなら邪魔は入る事はない。獲物としては、正直取るに足らないが――
再び黒々と輝きだしたその右腕を満足させる事くらいできるだろう。
3
「今のアンタは何かヤバいからね。フェイトの傍に置いとく訳にゃいかない」
確かに、光をここに連れてきたのはアタシだったが――
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい――ッ!)
ひょっとしたら、とんでもない失敗をしでかしたのかもしれない。本能がひっきりなしに警鐘を掻きならす。
「……賢明な判断だ」
ギラギラとした、まるで獣のような目。最初にあった夜など比べ物にならない殺気。黒々と燃え上がる魔力。殺したがっている。今すぐに。……そう、誰でもいいから。
≪アンタ、一体コイツにどんな酷いことしたんだい?≫
温和とは少し違うかもしれないが――それでも、ここしばらくの間に、光の人となりはある程度理解していたつもりだった。だからこそ戸惑う。あまりの急変に、思わずネズミ――ジュエルシードを見つけたとか言う魔導師に念話を送っていた。
≪何もしてない! ……つもりなんだけど!≫
こんなにもむき出しの殺気を叩きつけられれば、生きた心地などしないだろう。その魔導師は半泣きで返事を返してきた。だが、何もしてない事
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