暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇3
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『どうも、今のオマエは先代の記憶が強く影響してるようだな』
 ある時、相棒に告げられた事がある。今の自分には、先代――つまり、ジェフリー・リブロムの記憶が強く影響しているらしい。
 確かに、それはその通りかもしれない。彼の……いや、彼らが繋いできた希望を、その物語を受け継いだ自分にとってやはり原点は彼なのだ。もっとも、
『まぁ、まだオマエ自身の……かつてのオマエの物語なんてまだろくに始まってもいねえからってのもあるだろうがな』
 それもまた決事実である。一体自分が何を受け継いだのか。ようやくそれを理解したばかりだ。そして、自分の……かつての自分の物語は、むしろこれからだった。
『まぁ、確かに魔法使いが正義のための人殺しだったのは……少なくとも、そういう側面を持っていたのは、新世界でも変わらねえな。聖杯が砕かれたとはいえ、魔物化が一掃された訳でもねえ。何せ『奴ら』が世界のいたるところに派手に瘴気をばら撒いていったからな。残された傷痕はオリンピア戦争の比じゃねえ。それこそ、人間の魔物化すら誘発するほどだったんだ』
 魔物に対抗できるのは、魔法使いしかいない。特に大幅に文明を衰退させた新世界では、なおさらだった。放置すれば瞬く間に蹂躙される。そんな状況下で、救済に徹せる魔法使いばかりではなかったのは仕方がない事だろう。まして、アヴァロンもサンクチュアリもグリムもほぼ組織として機能していなかったのだから。特に、世界の終わりに際して早々に指導者を失ったアヴァロンとグリムは、世界の終わりを生き抜いた僅かな構成員の子孫達が何とかその名を伝えていた程度に過ぎない。
 実際のところ、かつての自分――牢に囚われる前の自分は、そんな組織が存在した事すら知らなかった。もっとも、当時自分がいた隠れ里に魔法使いがいればサンクチュアリの名前を聞く事くらいはできたかもしれないが。
 救済組織サンクチュアリ。世界の終わりを唯一生き残った魔法使い結社。
 ゴルロイス――エレインの生き様と理想は、新世界にも細々と、それでも確かに繋がっていた。彼女の残したその組織こそが、滅んだ世界の中でたった一つの希望だった。
 その彼女達のおかげで、新世界において魔法使いの地位は随分と好転していたが――それでも、魔物がいる限り、血塗れた宿命からは逃れられなかった。残された魔物達は世界の復興に大きな障害であり、世界が復興するにつれ、私欲に走る魔法使いも問題となった。また、さらに復興が進み、欲望を抱く余裕が生まれたると、今度は欲望に溺れ新たに魔物と化する人間も増えてきた。当初はサンクチュアリが取り締まっていたが……かの組織とてそれほどの規模があった訳ではない。組織が拡大していくより圧倒的に早く、脅威は膨れ上がった。
 結局、欲望に染まり魔物化する人間と、暴走する魔法使いに対する抑
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