用心棒‐グレンファイヤー-part1/アルビオンへ
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次の日の朝日に照らされたラ・ロシェールの街は、酷く荒れ果てた姿をしていた。建物の大半は焼け落ち、崩れ落ち、窓ガラスは粉々に吹き飛ばされていた。
街の人たちは嘆き悲しみ、悔しそうに破壊された町を見つめていた。そして、その怒りと悲しみの矛先は、昨日このような事態を引き起こした巨人に向けられることになる。
街の人は残った建物の壁にテクターギア・ゼロの絵を描くと、一斉にそれに向けてごみや石を投げたり唾を吐いて見せたのだ。家族を返せ、街を返せ。そう叫びながら老若男女関係なしにゼロを疫病神扱いした。
「都じゃ、国を救った英雄だったのにね…」
その光景を見て残念そうな思いを告げたのは、キュルケだった。しかも隣にはタバサもいる。なぜ彼女がここに?それについては昨日にさかのぼる。
昨日の早朝にワルドが乗ってきたグリフォンの泣き声が目覚まし代わりになったために朝早く起きたキュルケが、イケメン子爵であるワルドとルイズがやけにじゃれている(とキュルケは思っている)姿を目の当たりにしたのだ。あの色気に欠けるルイズにあんなイケメンが退かれたと?これは見て慣れないと思ったキュルケは、いつぞやのようにタバサを叩きお越し、彼女の使い魔シルフィードに乗せてもらってここまで来たのである。
「なんであんたたちがここにいるのよ!」
ちなみに、今のキュルケたちが立っている場所、それはルイズたち一行のすぐそばだった。要は、いつの間にかルイズたちの団体に交じっていたのである。
「知り合いかいルイズ?」
「ええ、まぁ………」
なんとも歯切れ悪く答えるルイズ。
「あんた達が出かけるの見たもんだから急いでタバサを叩き起してついてきたのよ」
タバサもコクコクと首を縦に振っている。要らないところばかり積極的な二人に、ルイズは額を押さえた。
「あのねぇ、これは『お忍びの任務』なのよ?」
「あっそ。お忍びなんて言ってくれなかったから分からなかったわ〜」
おどけた様子のキュルケにルイズはさらに頭を抱えた。しかしキュルケはそんなルイズの事なんかおかまいなしといったふうである。
「それに、勘違いしないでね。あなたを助けに来たんじゃなくって………」
そう言うとキュルケはワルドの腕に自分の腕を絡ませる。
「ねぇ、お髭が素敵な方。情熱はご存知?」
途端にワルドを口説き始めた。その様子にルイズは一気に頭に血が上る。こいつ、人の婚約者にまで手を伸ばすか!!何としても防がなくては。こんな奴にワルドを取られたら、またツェルプストーによるヴァリエール家の寝取られ記録が更新されてしまう。
しかし、ワルドはキュルケに冷たい視線を向けると、彼女の腕を振りほどいた。
「あらん?」
「助けはありがたいがこれ以上は近づかないでくれ」
「え、え、え?なんで?どうして?あたしが好きっていってるのに!?」
自分
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