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Ball Driver
第三十話 愛してるぜ
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第三十話


「「「愛してーるぜ!我らが帝東!
気持ちを込めて歌うのさ!!
我等が誇り精鋭達よ!さぁ行こーうぜ!!」」」

応援席からの大音量の声援が響き渡る。
その声援を上から浴びて、帝東先発の飛鳥が左のアンダーハンドからキレのある球を大友のミットに投げ込む。

「……体調バッチリ、制球バッチリ。良い感じだな、今日も」

ブルペンでの投球練習を終え、大友が話しかけてくるも、飛鳥の表情はむすっとしたまんま。

「……準決で先発って事は、明日は浦中さんの先発で、アタシ出番無いですよね?」
「……ま、そういう事になるかな」
「……やっぱりアタシ、まだまだエースじゃないだ……明日の徳士館の方が難敵なのに……」

飛鳥はため息をついた。帝東ほどになると、決勝の先発こそエースに任せ、準決ではエースを温存したりする。準決勝で、南十字学園のようなキワモノにぶつけられるという事は、自分がまだ二番手投手である事の証。飛鳥のため息はそういう意味である。

「おい、試合前から自分でテンション下げてどうするんだよ。今日勝たないと明日は無いんだぜ?マウンド上がりゃ誰だってエースだよ、トーナメントじゃ負けて良い試合なんて無いんだから」

大友が釘を刺すと、飛鳥は静かに頷いた。

「分かってます。……まずはこの、鬱陶しいチームを潰します。徹底的に。」

飛鳥の静かな闘士のこもった視線は、相手側のブルペン、桃色の髪の少女、品田紅緒に注がれていた。


「なぁ楠堂よ、お前は今日もでっかいなぁ」
「は、恐縮です」

前島監督がベンチの前で素振りしている、背番号16の選手に声をかけた。まだ一年生である。身長は187cm。前島監督の言葉通り大きい。そして、まだ15歳だが、その体には大きくくびれができていた。まるでミロのビーナスのような、ボンキュッボンのダイナマイトボディをしている。その割には顔は地味そのもので、まだ垢抜けていない。
帝東のメンバー中、もう1人の女。楠堂葵である。帝東に女は全部員合わせても、飛鳥とこの楠堂しか居ない。

「最近は150キロ近く投げる品田みたいな女が居たり、お前みたいなバケモノみたいな女が居たり、女が強えよなぁ。俺にはもうよく分からんよ。」
「一説によると、遺伝子レベルで男女性差が縮小していってるのだとか。」
「遺伝子ィ?お前、遺伝子とか分かるのか?じゃあ、DNAって何の略だ?言ってみろ」
「……ドコサヘキサエン酸……」
「それはDHAだよっ」

前島監督が突っ込むと、ベンチの他の選手も声を上げて笑い、楠堂は恥ずかしそうに大きな体を小さくした。

「なぁ楠堂。お前らの先輩方は榊原にしろ佐武にしろ、軟派な奴ばかりだから、今日は品田の色気に当てられるかもしんねぇ。神島と、お前。女2人でしっ
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