第三十話 愛してるぜ
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んたらが不甲斐ねぇから、紅緒ちゃんはぶっ壊れちまったんだけどよ、今日はこれ、良い機会じゃねぇかよ。もう紅緒ちゃんは今日も明日も無理だ。到底投げられねぇよ。だからこそ!これまで背負わせてきた分、俺たちが支えてやんなきゃならねぇだろ!あいつの残した8点差、しっかり返して逆転して、明日も勝って甲子園だ!甲子園までは日が空くから、また投げられるかもしれねぇ!品田紅緒の高校最後のピッチングが、一回八失点で良い訳がないだろ?南十字学園野球部が誇る、粗野で横暴な女王様だぜ?このまま終わっちゃいけねぇんだよ、終わらせちゃいけねぇんだ!」
パチ、パチ、パチ。
権城の熱っぽい演説に、一年生から拍手が起こった。
ポン。
背後から肩を叩かれ、振り返ってみると、打席から帰ってきた紗理奈が微笑んでいた。
「……打席から帰ってきたら、私の言いたい事全部言われちゃってたな。ありがとう。」
そして改めて紗理奈が、ベンチの中の全員に呼びかけた。
「権城くんの言う通りだ!この状況だからこそ、みんな一丸にならないといけない!相手は強い!だけどこのまま引き下がれないよ!勝つよ!みんなの力で!」
「「「おおぉーっ!」」」
8点ビハインドの圧倒的不利。
普通は試合を投げる所だが、しかし今、南十字学園にとっては、この8点ビハインドの逆転こそが大きなモチベーションになった。
「姿くん!」
「はい」
「次の回からピッチャー。いけるよね?」
「はい、もちろん」
紗理奈の指名に、姿が力強く頷く。
色白な優男だが、端正な顔がやたらと頼もしく見えた。
(あれ……結局、リリーフは俺じゃないんだ……あんだけ発破かけたのに結局俺はベンチって……)
1人で顔を引きつらせている権城は、ベンチの中の前向きな雰囲気から据え置かれた。
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