第三十話 愛してるぜ
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だが、、、これは勝ったな)
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「試合前から、肩を痛めていた!?」
「それも、寝付けないくらいに!?」
病院に緊急搬送された紅緒を見送った譲二と哲也は、権城から話を聞いて驚愕した。
譲二は権城の肩を揺さぶる。
「お前、何で皆に言わなかった!?」
「紅緒ちゃんが言うなって言ったんだよ、それに言った所でどうなるんだよ!紅緒ちゃんは意地でも先発したっつーの!」
譲二は頭を抱えて嘆いた。
「バカ……あいつ……1人で無理しやがって……」
権城は、これにはカチンときた。
紅緒のやった、“怪我を押して先発”という事自体は、権城は全くいい事とは思っていない。それは試合を私物化するようなものだ。その結果が8失点なら、言わんこっちゃないというだけの話である。一方で、このチームが“紅緒のチーム”であった事も確かだった。紅緒が1人、エースで4番としてここまで皆を連れてきた。引っ張ってきた。
その期待、役割を、自らの負傷くらいで降りられなかったという気持ちも、権城は想像がつかない訳ではない。
しかし、そうやって1人で頑張ってきた紅緒に対して、引っ張ってきて貰った側が“1人でやるな”とは、これはどういう事だろうか。
「うるせぇーっ!紅緒ちゃんがなぁ、バッカみてぇに無茶しやがったのは、てめぇらが情けねぇせいだよっ!」
権城が、先輩方に対して怒鳴る。いつからか、権城は先輩方にも敬語など使わなくなっていた。ベンチに入っている一年生達が凍りつく中で、権城はまくし立てる。
「本田譲二ィ!てめぇは懲りもせずにレフトスタンドばっか狙ってショートゴロばっか引っ掛けやがって!学習能力ってのがねぇのか!?状況を考えるくらいしやがれ!」
「合田哲也ァ!おめーは速い足を生かそうともせずこれまたアホみたいにクルクルクルクル三振の山!守備でもゴロの処理が雑すぎんだよ、無駄なジャンプスローなんて要らねぇから!」
「坊月彦ォ!いい加減、苦手な球来ても対応しようとする姿勢くらい見せろ!去年の雅礼二を見習ったか何か知らんが、打てる球だけ待って振り回しやがってよォ!春で既に研究され尽くしてんだよ得意球なんて来る訳ねぇだろうが!」
「良銀太ァ!小手先で当てるようなバッティングばっかり!どんな難しい球を当てても、内野ゴロじゃ意味がねぇんだ、少しは頭使って考えろ!」
徹底的にディスられた三年生達は、自分でも薄々気づいていたが、しかし本気で気にして来なかった事をズバズバと突かれて、押し黙ってしまった。権城は、不味い、と思った。言いたい事をつい言ってしまったが、これでは逆に、自分が死にかけのチームにトドメを刺してしまった。
権城はコホンと咳払いをして、シュンとしてしまった先輩達に語りかける。
「……あ
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