第四章
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うそう。そういえば」
「何?」
「今凄くいいじゃない」
笑顔で美香に言ってきた奈緒だった。
「今。そうじゃない?」
「何でいいの?」
「だって高校を卒業したのよ」
彼女が言うのはこのことだった。
「だから。おおっぴらにこうやってお酒も飲めるしね」
「まだ十八だけれどね」
「社会人になったらそんなのわからないわよ」
あまり褒められたことではないがそう言って彼女もワインを飲む。
「はっきり言ってね」
「それもそうね」
「そうそう。お金さえあればね」
「そうよね。お金も随分できたし」
二人で言い合う。
「高校卒業して万々歳ね」
「ええ」
美香はその黒いパスタを口の中に入れつつ奈緒にまた言葉を返す。
「後は。そうね」
「後は?」
「彼氏がいればいいんだけれど」
話は前におばさんと話したことのままだった。
「これでね。それだと完璧なんだけれど」
「彼氏ねえ」
奈緒は美香の今の言葉を聞いて少し考える顔を見せてきた。
「それだけれどね」
「どうしたの?」
「焦るものでもないわよ」
奈緒の言葉はおばさんのものと同じだった。
「確か。そうだったわよね」
「まあね。それはね」
「ただ。どうかしら」
ここで奈緒はまた美香に言ってきた。
「あんた、あれなのよ」
「あれって?」
「焦ってるように見えるのよ」
彼女が言うのはそのことだった。やはりおばさんと同じである。
「どうにもね」
「それ仕事場でも言われたけれど」
「焦らなくてもいいの」
奈緒はピザを食べつつ美香に述べる。
「別にね。待ってればいいのよ」
「やっぱり言うのは同じなのね」
「自然とそうなるわ」
それを隠しもしない奈緒だった。
「あんたを見てるとね」
「まだ十八だけれどね」
それは自分でもわかっている美香だった。
「けれどそれでも」
「相手欲しいの?」
「いい人がいたら結婚したいし」
「まだ早いわよ」
「早いかしら」
「早い早いって」
苦笑いになる奈緒だった。
「早過ぎるわよ。まああれだけれどね」
「あれって?」
「出会いがあれば別だけれどね」
「そうなの、別なの」
「要は出会い」
奈緒はまた言う。
「それよ。それなのよ」
「じゃあ今は」
「相手に会ってそれから考えなさい」
「それからなのね」
「決して焦らないこと」
このことを念押しする奈緒だった。
「絶対にね」
「わかったわ」
「わかったらいいわ。さて」
ここで奈緒は楽しそうな笑顔になって話を変えてきた。
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