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Ball Driver
第二十九話 打倒サザンクロス
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(順調に上がってきたな、サザンクロスめ)

観客席では大友が不敵な笑みを浮かべて見ていた。準決勝では、帝東と南十字学園が激突する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「なぁ、ジャガー。お前、配球変えた?」

ホテルの部屋で権城に訝しげに尋ねられて、ジャガーは目を丸くした。

「そう思います?」
「思うって。終盤になるにつれて変化球が半分以上になったし、最後相手の4番に対しても変化球勝負だったじゃないか。」
「それは……相手がストレートを狙っているようでしたので……」
「あの紅緒ちゃんが狙われてるからと言って変化球に頼るもんかよ。それに、その狙いを外してるはずの変化球が高めに浮いて8、9回で五本打たれたんじゃないか。最後もいつストレート来るかと思ってて、結局来なくて狙いが外れた感じだったじゃないか」
「すいません……次は気をつけます」

権城は申し訳なさそうな顔をするジャガーの両肩を掴んで、揺さぶった。

「違うって!俺が言いたいのはそんな事じゃなくてだなぁ、紅緒ちゃんの方に何かあるんじゃないかって事だよ。ああいうリードはジャガーがいくらしたくたってできないリードなんだよ、紅緒ちゃんが許さなきゃ!」
「……私の口からは、言えません……」

半泣きで困った顔をしているジャガーから、権城は手を放した。

「……全く、気を遣いすぎるんだから。直接聞いてくるよ。」

権城は部屋を出て行った。



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「失礼しまーす」

権城は紅緒の部屋に入った。紅緒はシングルの部屋をあてがわれていた。

「……はっ?」

権城の方を振り向いた紅緒は目を丸くした。
紅緒は上半身裸だった。

「ちょっ!入ってくるならノックしなさいよ!」
「しましたって!」
「ノックしながら入ってくる奴がどこに居るってのよ!」
「うるせぇな!小学生の頃を思い出せよ!お互い裸でも何も思わなかっただろーがよ!ついでに敬語も必要なかった」
「小学生の時とは状況が違うわよ!」
「一緒だよ今でも紅緒ちゃん貧乳だし!」

もはや敬語すら飛んでしまった権城は、出て行こうともせずに、逆にずかずかと部屋に入っていく。権城としては紅緒の裸よりももっと目を引いたものがあった。

「やっぱり!この湿布、どこに貼ろうとしてた?」
「あ、あんたには関係ないでしょうがっ!」

紅緒が手に持っていたのは湿布だった。
胸元を隠し、赤面しながら紅緒は憤る。

「もう!早く出て行きなさい!」

紅緒が右手を振り上げ、権城を殴ろうとする。
その時

「あっ……」

紅緒が顔をしかめた。権城は確信する。

「……肩か。肩を痛めたんだろ?」
「ち、違うわよっ!
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