DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第五話
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った。今回もそれが来るのか、と身構えるが――――
エインヘルヤルが唱えたのは、初めて聞く式句だった。
「『 神・哭・神・装
―――《惟神》――――
《Acedia‐Sloth》』 」
後方で、エギル達の驚愕の叫びが上がる。振り返ったキリトが見たのは、影のように姿を揺らめかせるバァル=フェゴル。それはまるで衣のようにエインヘルヤルにまとわりつき、その容姿を変化させる。
楯状の腕パーツは爪ごとエインヘルヤルの細腕に装着される。仮面は小型のネックレスとなって首から下げられ、フードはエインヘルヤルの肩を蓋う。彼女の真っ白い髪をかき分けて生えた漆黒の角は、見ることはできなかったが恐らくバァル=フェゴルにもついていたものだろう。蜘蛛のような四足は背中に収束し、枯れ木のような形に変貌、その間に、薄い膜で作られた翼が広がる。
エインヘルヤルの肌とバァル=フェゴルを構成していたパーツが触れる部分には、ぼろぼろの包帯が巻かれる。それは眼帯のように彼女の右目を蓋う。その隙間から除く瞳は、先ほどまでとは違い、緑ではなく紅蓮色に変わっていた。
エインヘルヤルを中心に、重圧がさらに増加していく。地面に罅割れができ始めた。
「私が戦えない、と思ってたんでしょう?……そんな事、一回も言ってない」
その言葉を聞いた瞬間――――
キリトは、自らの立てた作戦の前提条件が間違っていたことに気づいた。この作戦は、エインヘルヤルの戦闘能力の大半が熊型悪魔に集約していることを前提としてたてられたものだ。たしかに、エインヘルヤル単体の戦闘能力は無いのだろう。だが、このように武装すれば、彼女自身にも十分な戦闘能力がある、という事になるのでは――――
それは、つぎの瞬間に実証された。
エインヘルヤルの姿が掻き消える。気が付いたときには、後ろで構えていたサラマンダーのプレイヤーが吹き飛んでいた。HPバーが消滅し、死体だけが残る。彼のHPは満タンだった。なのにもかかわらず、一撃で消え去ったのだ。それはそのまま、エインヘルヤルの戦闘能力の高さを証明するものだった。
「本気出していいって言われたから、出す。……消えなさい」
死神の姿が、再び掻き消えた。
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