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覇王と修羅王
合宿編
二十二話
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しで調べるからよ」

 マジだったの? と視線で問うアレクに、ルーテシアは確りと頷いた。
 お茶目が過ぎるルーテシアも根は善人であり、遠くから遥々泊りにきた者が不満を持つ事など見過ごせないのだ。
 だがアレクからすれば、真面目に成られても困る。やる事は膝枕に変わりはないのだ。
 アレクも男なので嫌かと問われれば、嫌ではない。寧ろ興味はある。ただ、周りの好奇な視線で羞恥心が掻き立てられるだけだ。
 そんなアレクの心境を、ルーテシアは読み取った。

「アレクは見られたくないみたいだし、ヴィヴィオ達は席を外してくれる?」
「えぇ〜」
「男の子にも色々あるのよ。ね、エリオ?」
「……うん、まあ、そうだね」

 ヴィヴィオは不満を口にするが、視線を向けたアレクは大きく頷いたので、渋々と部屋を出て行く。
 そして、続いて出て行く面々の中、ちらりと此方を見たアインハルトに、ルーテシアは意味有りげな笑みを送った。

「っ!?」
「アインハルトさん?」
「……あ、いえ、なんでもありません」

 ぱたんと閉じられた扉に向けルーテシアは、効果有り、とほくそ笑んだ。種は蒔いたので、後はどんな芽が出るか、である。
 ルーテシアの見立てでは、アインハルトも無自覚な部分が多い。例えば――――人付き合いが下手なのにアレクの傍を離れないのは何故か。
 悲願の為、とアインハルトは答えるだろうが、ルーテシアはそう思わない。先祖とは関係無い情が多分にある、と見て取れる。因縁等々を押し殺して傍に居るかもしれないが、其処まで器用ではないだろう。
 それに、ヴィヴィオとの事もある。負の感情がヴィヴィオに向かないよう自分に仕向けたが、果たしてどうなるか。

「なぁ〜に企んでやがりますか」
「企むなんて人聞きの悪い、ちょっと後押しするだけよ」
「なんの後押しなんだか……」

 疑わしい視線をルーテシアはどこ吹く風で躱し、三角形になりつつある関係、その一角をこっちへ来いと膝を叩いて招き寄せた。


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