白い光の中で
ターン11 壊れた鉄砲水
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て本末転倒だし、さっきのターンだって十分にライフが残ってる状態でわざわざランタンまで出す意味は薄いだろう。メタモルポットだってわざわざこのタイミングで反転召喚するようなものでもないし。
「稲石さん、今、本気ですか」
自然と声が固くなる。もし舐めプされてるんだとしたら、それは嫌だ。でもまさか、あの稲石さんはそんなことするキャラじゃない。だけどそんな思いを全部見透かしているような目で稲石さんは僕の顔を見て、嫌味たっぷりの口調で返す。
「ああ、気づいた?でもね、今の君に舐めプに対して怒る権利なんてたいそうなものがあると思う?悪いけど、今の君に文句を言う資格はないよ。………さっき君が何を言おうとしてたのか、自分が気付いてないとでも思った?もうやめようだなんて、随分と馬鹿にしてくれたものだね。自分が知ってる遊野清明って男は、そんなこと言うような屑じゃなかったよ、うん」
「…………」
稲石さんがなんで怒ってるのか、正直まだよくわからない。だけどその沈黙を理解と受け取ったらしくそれに気をよくしたのか、さらに口を開く稲石さん。
「勝敗だけにしかこだわらなくなるとこうなるっていういい例さ。勝ちを目指すのは結構だけど、その路線変更に君のデッキが、何より君自身がまるでついていけてない。こういう説教みたいなのは苦手なんだけど要するにまとめるとだね、なんだ、そんな慣れないことはするもんじゃないよ」
「は、はい」
そうは言っても、勝つことができなければ何の意味もない。あなたの言ってることは、ただの理想論だ。ヒーローである十代がおらず、万丈目たちも次々と光の結社に飲み込まれていく中、僕が勝ち続けるしか道はないじゃないか。そう言いそうになるが、また喧嘩になりそうだったのでぐっと飲み込んだ。
だがそれすらも鋭い稲石さんにはお見通しだったようで、ため息を一つつくとつまらなそうな顔でデュエルディスクの電源を落とした。デュエルが強制終了されたことで、お互いのソリッドビジョンが消えていく。
「え………?」
「もういいよ、どうやら自分と今の君とは、根本的なところで噛み合ってないみたいだし。これ以上やっても時間の無駄さ。さ、帰った帰った」
ああ、僕は勝ちたいだけなのに。チャクチャルさんに続いて、稲石さんにまで見限られた。このまま取り返しのつかないことになる前に考え直せ、という声が頭の中で響く。だけどその声は、もっと大きな声にかき消された。
いわく、この程度で見限るというならば、所詮はその程度の仲だったのだと。僕は何一つ悪くないのだ、むしろ自分のことをわかろうともしない者に全ての責任がある。だから無視してそのまま帰り、金輪際関わり合いにならなければいい。そして僕は一瞬迷った末、その声の言うことを聞くことにした。手早くデュエルディスクの上
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