白い光の中で
ターン11 壊れた鉄砲水
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000→3750
じわじわと削られていくライフ。気づけばその数値はゴーストリック・ワーウルフの攻撃力と同じ………僕の手札にこの状況を打破できるカードはなく、もしあのカードの中にシャクトパスを破壊できるカードがあればハウス効果のダイレクトアタックが成立するようになり、僕の負けだ。
ああ、また勝てない。だったらもう、別にこのデュエルを続けなくてもいいんじゃないかな。そんな思いが、ちらりと胸をよぎる。
「稲石さん、もう………」
やめよう。そう言おうとした瞬間、稲石さんが諦めたように肩をすくめた。
「………ふーむ。もう1ターンだけ待とうかな。ワーウルフを裏側守備表示に変更、これでターンエンド」
どうやら、このターンでシャクトパスを倒すことはできなかったようだ。なんか綱渡りばっかりで、つくづくデッキに対して申し訳ないと思う。こんなしょうもないのが使い手でいいんだろうか、ほんとに。
「ああ、僕のターンか。ドロー」
一応手札は5枚、今のドローも合わせると6枚ある。だけど、勝てる気がしない。
「速攻魔法、サイクロンを発動。対象は、えっと」
どれを破壊しようか。ハウスを破壊すればシャクトパス達がやられても返しのダイレクトアタックは防げるけど、稲石さんもあれだけドローして手札に2枚目のハウスかミュージアムが来ていないとは考えにくい。じゃあ、セットカードだろうか。とはいえ今の稲石さんのデッキはバーン軸らしいし、何も考えずにこのサイクロンを使ってもフリーチェーンでかわされる可能性もある。いや、そんなのは度のデッキでも同じだし考えるだけ無駄か。
「その伏せカード、僕から見て右側の方を」
「ん」
風が吹き、稲石さんのカードを巻き上げる。その際に見えたイラストは、っと。
「地砕き………?」
僕でも知ってる割と有名なカード、地砕き。大地を砕く拳のイラストが印象的な、相手フィールドに存在する守備力の1番高いモンスターを破壊する対象にとらないことが厄介だったりする通常魔法カードだ。それをセットしたのは別にいい。おそらく、ワーウルフの効果で与えるダメージを増やしたかったから先に伏せたのだろう。いや待てよ、その前のメタモルポットで捨てるのを回避するために伏せたほうだったかもしれない。だがそんなことはどうでもいい、今重要なのはそれを稲石さんが前のターンに使わなかったということだ。通常魔法は他のカードと違って1度セットしてからでもそのターン中に使うことができるという特徴があり、当然稲石さんもそのことは知っている。だというのに、それを使っていれば勝てる状況だったにもかかわらずそれをしなかった。
というか大体、今の稲石さんのプレイングはちょいちょいおかしい。バーン軸なのにハウスを使ってダメージを減らすなん
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