白い光の中で
ターン11 壊れた鉄砲水
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とっさのことに言葉が出ない。気持ちを立て直す前に、稲石さんの冷たい声が飛ぶ。
「そもそも1つ聞きたいんだけどさ、強くなる、ってどういうことかわかってる?」
強くなるとは何か。そりゃあもちろん、デュエルに勝てるようになることだろう。強ければ勝つ。これはもう疑いようがない。あいあんだーすたーんど。
間違ったことを言っているつもりはないが、なぜかその答えにさらに眉をひそめる稲石さん。
「…………こりゃあ、ちょっと見ないうちにずいぶん重症だねぇ。いい?強くなるなんて一口に言っても、その方法なんて星の数ほどあるからね?例えばビートダウン1つにしても一発あたりの火力を高めるか連続して細かく攻撃を仕掛けていくか。バーンデッキでも同じことが言える。矛盾した話だけど、ロマンを安定して出せるようにするとか戦線を分厚くして数の勝負を仕掛けていくかってことだね。相手のデッキ切れを狙うためにデッキを直接切り崩す方向に進化するか、ひたすら耐え忍んで何もしないうちに相手が負けるように防御力を高めるか。あんまり推奨はしないけど、なんかこう電波が出せる機械を発明して相手のデュエルディスクがカードデータを読み取れなくさせるなんて方法もある。あるいはもっとてっとり早く、相手がカードを出す前に骨を折るとかして物理的にカードを使えなくさせるなんてのも一つの手だよ。ほかにも相手が切り札の使用をためらうように仕向けるように相手の思考を誘導する話術を磨いたりするのもグレーゾーンだけどありっちゃありだろうし」
「後半が色々物騒だニャ!?」
色々とツッコミどころもあるが、僕は一言もしゃべることができなかった。大徳寺先生、あなたは稲石さんの顔が見えない位置にいるからそんなことを言うだけの余裕があるんだ。それほどまでに稲石さんの目は冷たく、まるでその視線に物理的な拘束力でもあるかのように体がピクリとも動かない。
「言うだけなら、そりゃあまあそれはノーコストだろうさ。ただね、そんなただ強くなりたい、だなんて雑な願いはどう頑張っても叶わないよ。………構えてみな。自分が相手したげるから」
「え、稲石さん……?」
「今何かしないと本気で手遅れになりそうだしね。方向を見失って負けがかさんで完全に心が折れる前に、なんとか叩き直してあげるよ。はい、構えて。早く!」
「は、はい!」
怖かったから、というよりもむしろなにがなんだかよくわからないままにデュエルディスクを構える。デッキをセットし、机を挟んだ状態のまま稲石さんと向かい合う。大徳寺先生もいつものニコニコ笑いではなく、アムナエルの時みたいな鋭い視線で僕らを眺める。うう、やりづらい。
「「デュエル!」」
「先行はもらうよ、自分のターン。モンスターを裏守備でセット、これでターンエンド」
「僕のターン、ド
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