第六十三話「鎧を纏う怪物」
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逃げられたからな」
「……………なぁ、お前らの本部を襲撃した時のことは覚えてねぇわけ?」
「はっきり言えば覚えてない。全て片付いた後でお前を殺しかけたと聞いたからな」
覚えてない、という言葉を聞いた時、レオのこめかみに血管が浮き出た。
本部防衛作戦の時、レオは暴走したブランクに硬化能力を真っ向から破られ、プライドを傷つけられた。
今まで破られたことが無かった硬化能力を、暴走状態とは言え、破られた。
しかも破った本人はそれを覚えていないときた。
レオは作り笑いを浮かべながら、両腕を硬化させた。
「もっかい暴走でもして俺様を殺すかい? そんで俺様を殺してもどうせ覚えてないんだろ?」
表情は笑っているが、眼が段々と赤く変色し、硬化させた手をパキパキと鳴らしている。
表情以外は全力で憎悪を滲ませている。
「次は破る……正気を保ったままな」
「じゃあやってみろ!!」
兵士の潰れた死体を踏み潰し、真っ直ぐブランクを殺すために疾走してきた。
ブランクを見るレオの眼は、獲物を見つけた感染者のようだった。
レオは硬化させた腕でブランクに殴りかかる。
それを素早く回避し、レオの脇腹にカウンターを食らわせた。
ギィィィィン!!
聞き覚えのある金属音。と同時に、ブランクの手に痺れがきた。
「(正攻法ではコイツを殺すことはできないか………)」
「無駄だ無駄だぁ!!」
今度は硬化させた手で引っ掻いてきた。その攻撃もギリギリで回避する。
その手を掴み、思い切り投げ飛ばす。
「チッ、やるなぁ……」
投げ飛ばされ、空中を舞うレオが静かに呟いた。
「(刃物は効かない……殴っても効き目が薄い……やはり自我を失うしか対抗手段は無いのか?)」
対抗手段を考え込むブランクの耳に、ドゴンッ!! と、大きな音が鳴り響く。
音がした方を見ると、レオが抉れた地面の上で方膝を立てブランクを睨んでいた。
「痛えなぁ……足を硬化させてなかったら、足の皮グッチャグチャになってたぞ」
「安心しろ。もうじき身体がグチャグチャになる。覚悟しておけ」
ブランクの言葉に、レオは歯軋りさせた。
「へぇ〜…………俺様を怒らせても、な〜んもいいことないぜ?」
こめかみに血管を浮かべたレオが、怒気を込めて言い放った。
常に浮かべていた薄ら笑いを完全に無くし、殺意のみで動く怪物への第一歩を踏み出した。
レオは硬化させた自身の腕を引っ掻いた。
硬化した皮膚から、ドロドロとした黒色の液体が滲み出てきた。
「俺様もアンタも………こいつに随分人生を狂わされたよなぁ〜?」
黒い液体は完全な液体ではなく、黒色の固体混じりのドロドロした液体
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