群雄割拠の章
第1話 「貴女はどなたです?」
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…………………」
「……………………」
い、いや無理だって!
いきなりこの場で梁州の全責任背負わされるなんて、どんな罰ゲーム!?
「……この一年、賈?さんから政務の情報も聞かされてきたはずです。軍内部のこと、漢中のこと、その全てを把握していろとは言いませんが、それでも副将としての立場で意見が言えるはずです」
「そ、そんなこと急に言われても……」
「……盾二様なら、絶対できるはずです」
そ、そりゃ、指揮に慣れている盾二なら出来るだろうけどさ……いや、俺にそれやれって!?
いきなりそんなこと、無理だってば!
「いや、でも、えと……俺にはそんなの……」
「……孔明殿。もうよい」
「………………はい」
劉表は、そう呟くと背中を向けた。
孔明ちゃんは、眉をきつく寄せながら俯いている。
……なんなんだよ、一体。
「……すみません、一刀様。ご退出下さい」
「え? あ、ああ……けど、盾二のこと……」
「……お話は後で」
「………………わかった」
孔明ちゃんのキツイ眼差しを受けて、この場は去るべきだと思う。
けど、一体何だったんだ……?
そもそも盾二が梁州を去ったって、どういうことだ?
あいつは一体、何を考えて……
俺には、何がなんだかわからなかった。
―― 孔明 side ――
「……あれはダメだ」
「……………………」
一刀様が王座の間から退出して、しばらく後。
唐突に、劉表様がそう言いました。
けど、その内容には驚きませんでした。
私も、同じ思いだったからです。
「盾二のような覇気もない。才覚もない。信念も気概も見受けられん。盾二が何故、あの者に全てを託したのか……儂にはわからん」
「……………………」
「他国の牧である儂を前にして、自身が梁州の責務を少しでも担っているという自負があれば、対面だけでも取り繕うことはするじゃろう。じゃが、あやつにはその自負もなければ、梁州に対する思い入れすらない」
「……………………」
「全てが他人事……あやつは軽薄すぎる。あの者が治める梁州であるなら、儂は同盟を破棄する」
「……………………」
「……が、この地を治めるのは玄徳の嬢ちゃんじゃ。それならばまだ、かろうじて望みは持てよう……嬢ちゃんが復帰すれば、の話じゃがの」
「………………はい」
……一刀様には役者不足でしたか。
無理を承知で試したのですが……こうも無残だとは。
「……もう一月待つ。それまでに嬢ちゃんを元に戻せ。でなければ、儂は同盟を切る」
「……はい」
「もっとも、最近は劉焉とも疎遠じゃ……三州同盟が今後も続いたとて、安定かどうかは……儂にもわからんがの」
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