群雄割拠の章
第1話 「貴女はどなたです?」
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玄徳の嬢ちゃんが儂に会わないことに、関係あるのかの?」
「………………………………」
「……儂は、そんなに信用されておらぬというのかの……」
「…………………………違います」
「……では、何故じゃ? 何故言えぬ? 何故会えぬ? あやつがこの梁州を去った理由は何じゃ? 儂の養子を断るのはいい。それは儂と盾二の問題じゃ。だが、何故じゃ? 盾二を放逐すれば……儂がこの後どうするかなど、お主らにもわかろうに」
元々、三州同盟は盾二が居ったればこそじゃった。
儂が盾二に惚れ込んでいるから、その主である嬢ちゃんとの縁を結んだが発端じゃ。
その盾二を切れば、この同盟が無くなることもわかっておろうに……
「………………盾二様は、私達にも暇を出しました」
「な、何!?」
「私達は、今は無主です。ですが、突然私達がいなくなれば、梁州は崩壊します。無主ではありますが……私達はここで仕事を続けています」
「……玄徳の嬢ちゃんは、なんと?」
「……………………なにも…………いえ、それどころか、何も話しては下さいません」
「………………………………?」
「一月前、盾二様が梁州を去った後……桃香様は、漢中郊外の共同墓地で警邏隊に発見されました。その後……七日間眠り続け、目が醒めても反応がありません」
「!?」
「まるで屍のように……なってしまわれました」
なっ……どういうことじゃ!?
儂が目を向けると、孔明殿は目を伏せる。
それ以上は聞くな……そう言っているようじゃ。
梁州の主が廃人のようになり、その腹心がいない状況……こんなことが公になったらまずいのじゃな。
「……私達が知っているのは、桃香様を呼び出す前に、私と雛里ちゃんが暇を出されたこと。盾二様が、馬正さんの仇である唐周を追ったこと。そして……」
「……そして?」
「………………自分の後を、ご兄弟に託されたこと、だけです」
「……兄弟、じゃと?」
盾二に兄弟がいた……?
その者に自分のすべてを譲り渡したというのか!?
「……何故じゃ。兄弟がいたとして、それで何故盾二がここを去る必要がある?」
「わかりません……私達にも、なにもわからないんです。ただ、盾二様は……一刀様を、自分の代わりにしろとしか……」
「………………」
どういう、ことじゃ……?
あの盾二が、全てを投げ出した?
いや、あの才覚を持つ盾二が、なんの落ち度もなく梁州を、その職責を投げ出すなどありえん。
何か大きな失策をした……?
いや、これほど急速に、にも拘らず安定した成長を続ける梁州じゃ。
そんな失策をしたとは到底思えん。
その兄弟……真名かもしれんが、一刀とかいう男が盾二以上の才覚を持っているから、何らかの理由
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