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無欠の刃
アカデミー編
夕焼け
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ほしい。忍びとして、恥ずかしい戦いをしてほしくない。

 何よりも。

 カトナが短刀を赤い鞘から抜く。



 ―お母さんの名を、汚さないでほしい。



 カトナはそう思いながらも、短刀「夕焼け」を構える。
 前回とは打って変わって、刀身が短い刀を出してきたことにいのは警戒し、カトナを睨み付ける。
 だが、カトナはその睨みをいとも介さず、サスケの手を離して体育館の中心に立ち、審判の方にちらりと視線をよこす。
 審判は異様な雰囲気の二人に若干びびりながらも、旗を上にあげ、合図を出す。

 「はじめ!!」

 次の瞬間、カトナは床を力強く蹴り付け、勢いよく走り出す。
 と同時に、持っていた短刀を後ろ手でしまう。
 観客たちは驚くが、カトナの後ろ側で何が起きているかを見えなかったいのは、初歩中の初歩である分身の術を用いた。
 先ほどの大太刀であれば一閃される危険性があったが、この状態ならば問題ない。短刀であれば処理に時間がかかり、隙が生まれる。
 そう考えたからだ。
 しかし、それは悪手であったとしかいいようがない。
 三人に増えた分身をカトナは一睨みした。
 次の瞬間、いのの体が一瞬だけだが強張る。
 目をむいた彼女に、カトナの短刀が一閃する。
 いのが咄嗟に飛びのいた。先程まで彼女がいた場所を、赤い鞘におさまった短刀が走っていく。
 カトナが舌打ちをした。
 金縛りの術で確実に仕留めるつもりだったが、チャクラを惜しんだせいで逃れられてしまった。
 面倒くさいと頭をかいた彼女は、さてどうしたものかと軽く思考する。
 父の色である青い鞘に入れればもっと戦いやすいのだが、ついつい苛立って母の色である赤い鞘に入れてしまった。
 どうやったらいのを倒せるだろうかと考えて、よしと赤鞘にチャクラを籠める。
 こういう時はもう一つの能力の使い時だ。
 ある程度チャクラを籠めたカトナはいのが印を結んだ瞬間、赤い鞘を彼女の顔面に投げた。
 びくりと鞘をぶつけられ、驚きで固まったいのはすぐさま、鞘を離そうとしたが離れない。どころか、離そうとした掌さえくっつく始末なのだ。
 いのが動転し、思考が停止した時、カトナはその無防備な腹に向けて思いっきり拳を突き出した。
 直前にチャクラをコントロールし、強化された拳に殴られたいのの体は、呆気なくとんだ。どんっ、という破裂音のような音を聞いた次の瞬間、いのはあっけなく気絶した。

 何をされたのか分からなかっただろう。というか、他の人間も何をしたのかすらわからないだろう。 しんと静かになった辺りを見回したカトナは刀を拾う。
 これ、案外使いにくいんだよなぁと無表情の下で考えながら、その場から逃げ出す。
 別に、何か悪いことをしたわけでもなく、逃げ出すような
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