第二十七話 刺客
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た行ったァー!」
「こりゃ確かにすげぇぞサザンクロスー!」
「帝東食っちまうかもなァー!」
スコアボードには5回の時点で20点目が刻まれる。南十字学園の初戦は、Aシードなので三回戦から。一応二つ勝ってきた相手に対しても、南十字学園の猛打が大爆発。安打数は23本で、長打は11本。ホームランも4本飛び出るド派手な試合運びをしていた。
「……なんつー粗っぽさなんだか」
「本当にな」
次々と得点してはしゃいでいる南十字ナインを眼下にして、呆れたように呟いている少年たちが居た。制服は南十字学園のものではない。頭には、ツバが曲がり角ばった型のついた野球帽。
次戦で南十字学園と対戦する都立高校・大山台高校のものである。
「ま、ここで気の済むまで打って、打ち疲れてくれりゃあ良いよ。……そうした方が、こいつらの思い出にもなるだろうしな」
「そうそう。次も同じようにいくと思ったら大間違いだぜ。」
2人とも不敵な笑みを浮かべていた。
もちろん、グランドの中の南十字学園ナインは、そんな事には気づいていない。
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「今日の相手は大山台か。」
「4回戦は日弦かと思ったのにな。」
初戦を勝って迎える4回戦。相手はDシードの日大弦ヶ丘を下して勝ち上がってきた都立高校・大山台。グレー生地のユニフォーム姿は、女の多い南十字学園並に小ささが目立つ。
「去年の事もあるし、夏は4回戦が鬼門かと思ってたけど、たまたま勝ち上がってきたような相手じゃまず心配ないか。」
呑気な事を言う権城に対し、ジャガーが表情を引き締めて言った。
「勝負事に油断は禁物ですよ。」
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<1回の表、南十字学園の攻撃は、1番ショート合田君>
「よーっしゃ行くぜぇー!」
哲也がいつも通り、打ち気満々に右打席に入る。初戦ではホームランも放って、1番打者ながら長打力もある。
(またまた、飢えた動物みたいな顔しておいでなすった)
マウンド上で不敵に笑っているのは、南十字学園の初戦をスタンドで見ていた、あの少年の片割れだった。身長は170センチちょうどで、横幅もそんなにはない。凄みはなく、特徴と言えばサウスポーである事くらいか。
(ま、作戦通りにいきますか)
捕手のポジションでミットを構えるのも、偵察に来ていた少年の片割れ。
投手は織田幹雄、捕手は都築時夫と言う。
織田が振りかぶる。哲也がタイミングをとる。
試合開始のサイレンが鳴り響いた。
カキィーン!
バットの高い音が響いた。
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哲也の打球は一塁側のファールゾーンに飛び込んだ。
「何だ
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