第91話 少年たちの前に壁が現れるようです
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う訳かラカンが『墓守り人の宮殿』に居た俺に"気"を向けて来たからこうして来たんだが・・・
まさか世間話する訳でもないだろうに。
ザンッ!
「しゅ、愁磨さん!?どうしてここに!?」
「おや……気配は消してたはずなんだがな。良く分かったな。」
「あっちから見えますもん、分かりますよ!!」
ラカンに問いただそうとしたら、ネギが『闇の魔法』を使ってまですっ飛んで来た。
・・・ああ、迂闊だったな。我ながら目立つ見た目だと言うのをすっかり忘れていた。
それにしたって、存在も薄めてたんだけど・・・成長著しいって事かな。
「……この、雲海の下に広がる廃墟な。」
「えっ?」
「昔は大小百の島々が天然の魔法の力で浮かぶ、そりゃぁキレイな古都だったんだよ。
飯は美味いし美人も多かった。この世界の文明の発祥の地とか言われてな。」
面倒な事が始まりそうだと思った時、ラカンが何やら語り出した。
歴史と伝統のウェスペルタティア王国。麗しき千塔の都、空中王都オスティア。この世界最初の王都。
・・・言っている事はただの歴史的事実だが、思う所があるのだろうか?
「その王族の血筋には代々不思議な力を持つ特別な子供が生まれて来た。
この世界が始まったのと同じ力で、この世界に息づく魔法の力を終わらせる神代の力。
『黄昏の姫御子』、"完全魔法無効化能力者"。」
ネギは知る由もないが、明日菜の事だ。しかし、ラカンが知る由も無い事も存在している。
そう、アスナの能力がツェラメルと同じ力であると言う事。
訝しんでいる俺と意図を全く掴めないネギを置き去りに、ラカンは語る。
「20年前の大戦の時にな、あの壮麗だった島々が全部落っこちた。直径50kmに及ぶ巨大魔法災害、
『広域魔力消失現象』によってな。……まぁ愁磨のお陰で、多少の問題を残しただけで済んで、
………王国は滅んだ。」
そこで自嘲気味の笑みを浮かべて、重そうな体をこれまた重そうに立ち上がる。
「お前の……いや、俺達は己が私欲の為に下らねぇ戦をおっぱじめやがった馬鹿共を暴き出し、
世界を二つに分けていがみ合ってた連中をまとめ上げて諸悪の根源をぶっ潰して、世界が滅ぶのを
喰い止めた。が――」
「………一つの国と、9822人の命と、一人のか弱い女の子を守る事が出来なかった。」
―――何が英雄だ。
あの時からずっと、俺達の心に共にあるのはそれだ。幾ら力をつけようとも、経験を重ねようとも。
抗えないモノが確かに
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