第二十六話 夏のはじまり
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、そうやって終わらせて欲しくなかった。
「ねぇ、権城くん」
「んっ?…何すか?」
紗理奈は寝転んでいる権城の傍に自分も身を横たえて、顔を近づけた。端正な顔が、息がかかりそうな程に近づいて、権城の心臓がドキッと跳ねた。
「私が引退してからの野球部は、君に任せる。演劇部の方は、ジャガーに任せるから、お互い協力し合って、頑張ってね。」
「……それこそ、今言う事じゃ無いっすよ」
唐突な次期主将の指名を受けて、権城は苦笑いした。
紗理奈はカラッと爽やかな笑顔を見せた。
「言いたくなったから言ったんだ。前々から決めてた事だったし。」
「ま、両方とも2年が俺とジャガーしか居なけりゃそうなりますけど……」
「脚本と違って、その時々の気持ちに任せてモノを言ったって許されるでしょ?……人生は」
「そうっすけどねぇ……」
潮風が吹いてくる。磯の香りがして、どこか懐かしいような香りに、紗理奈も権城も目を細めた。
「この夏は、私自身が演じる、最後の劇」
「……ハッピーエンドにしましょうか」
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