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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第21話 『あの時の公園で。「結局……計佑くんは、私のことキライなの……?」』
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傷ついている様子の雪姫に、計佑もいよいよ余裕がなくなった。
 慌てて、とにかく言い訳を口にする。

「先輩っごめんなさい、落ち着いて!! 冗談!! あれは冗談ですから!!!」

 ヒクッ、と電話の向こうで雪姫がしゃくりあげるのが聞こえた。

『……え……じょう、だん……?』

 雪姫の声が落ち着いた。

「そう、冗談ですよ、冗談!! やだな〜先輩、あんなの真に受けたりして……」

 雪姫が落ち着いてくれたと安心して、少年は苦笑交じりに冗談だと重ねた。
……地雷を踏み直しているとも気付かずに。

『……なっ……なんでそんな冗談が言えるの……?』

 その声は、また涙分が強くなってきていた。

──あ、あれ……なんかまた雲行きが……?

 まだわかっていない少年。

『……ひ、ひどいよ……わっ私の気持ち知ってて、なんでキライなんて冗談が言えるのっ!!??』

 叫ばれて、ようやくその酷さに気づいた。

「あっ!?  いやっ!! それはっ、その……!!」

 気付いたが、もうどうにも出来なかった。今更、それもウソだと言う訳にもいかない。

『なっ、なんでこんなぁ……ヒドすぎるよぉお!!!』

 完全に雪姫が泣きだしてしまった。けれど、もはやなんと言ったらいいのかまるで分からない。

──あああ〜もう〜〜!! ホントに何てコトしてくれたんだよっっ、ホタル!!!

 ホタルへの恨み事を心中で叫んでいる間にも、雪姫がしゃくりあげながら、また言葉をぶつけてくる。

『あ、あんまりだよぉ……い、いっつも私のこと上げて落として繰り返して……!! そっそんなにっ、私のコト虐めるのがっ面白いのぉ?  や、やっぱりホントは私のコトきらいなんでしょお!?』
「なっ……!?」

 完全に気圧されていたが、まさかの言葉にぎょっとした。

「何でそうなるんですか!! 好きに決まってるでしょう!?」

 思わず、大声を出してしまっていた。

『ひっ……!!』

 計佑の大声に、雪姫が一瞬怯んで。またしゃくりあげた。けれどすぐに、

『……計佑くんが怒鳴った〜!! な、なんで私が怒られるのぉ……わ、私悪くないのにぃ〜……!!』

 ガン泣きを始めてしまった。

「えええっ!!!? いっいやっ、別に怒った訳じゃ……!?」

 慌てて否定しても、雪姫の泣き声はもう止まらない。そして計佑も、もうこの状況には耐えられなかった。
雪姫が泣いているというのに、電話越しの言葉しかかけられないなんていう──このもどかしいやり取りには。

「……先輩!! 今すぐ会いに行きます!! 絶対に誤解だってわかってもらいますから!!」

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