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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第15話 『まくらとの喧嘩、変わり始める関係。「お前、どんだけ失礼なんだよ」』
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<15話>


 夜の12時を回ろうかという頃になって。

──先輩、眠ったかな……?

 計佑は、そっと雪姫の手を離した。
それでも反応がないことを確認して、静かに立ち上がる。
 雪姫の手を握っているのは彼女が寝付くまで──就寝前の会話で、雪姫にも納得してもらったことだった。

──まくらのヤツに、食いもん持ってってやらないとな……

 雪姫に明かせなかった、もう一つの理由はこれだった。
 雪姫の怖がりぶりを思えば、もしも目が覚めてしまった時に相当怯えさせてしまうだろうけど……それでも、まくらも放ってはおけなかった。
雪姫は相当な怖がりだが、まくらはかなりの寂しがりだから。
そしていまの自分が放っておいたら、まくらは完全に一人きり……。
 昨夜も、夕食抜きで過ごさせてしまった罪悪感もある。
 後ろ髪を引かれる思いだったが、ケータイに書き置きを打ち込んで
雪姫の顔の傍に置くと、リュックを持ってそっと廃屋を抜け出すのだった。

─────────────────────────────────

 幸い、まくらはすぐに見つかった。
ちょっと歩くともう海だったのだが、まくらはその堤防の上で身体を丸めて眠っていた。

「なんだ……いつまでも帰ってこないと思ったらこんな所で寝てたのかよ……」

 ホッと安心のため息が漏れた。

──……さて。そうすると食いもんはどうするかな……気持ちよさそうに寝てるのをわざわざ起こすのもアレだし。

 といっても朝になってからでは、雪姫の目があって食事をさせる訳にはいかなくなる可能性もある。

「…………」

 雪姫への書き置きには、海の方を見てくると残しておいたし、このまましばらくここに留まっても大丈夫だろう。
そう判断して、まくらの傍にそっと腰掛けた。寝顔を見下ろす。

──無邪気に寝てくれるよな、全く……

 ぼんやりと見つめ続けるが、その心中は少し沈み始めていた。

──結局ろくな手がかりもなかった。あがいてみるとは言ったけど、この先どうしたらいいんだろう……

 考える。

──保留しておいた考えを、実行するしかないのかな……

 ひとつは、母や父に、まくらの霊の事を明かすというものだった。
──両親の目の前でまくらにモノを持たせる、筆談させるなどすればイヤでも信じるだろう──
そして、霊能力者なり探してもらう──とか。

 もう一つは、本当に自分しか見える(触れる)人間がいないのか、本腰を入れて探してみるというものだった。
……人が多い所に連れて行って、まくらに飛び回らせてみる──とか。

──うーん……ただ……

 前者はともかく、後者は複数人が認識できてしまった場合、騒ぎになってしまう可能性があった
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