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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第15話 『まくらとの喧嘩、変わり始める関係。「お前、どんだけ失礼なんだよ」』
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いのけようとしたら──

パァンッ!

 茂武市に、頬を叩かれていた。

──……え……

 叩かれた頬を、呆然と押さえる。
一昨日の傷跡がまだ残る頬への一撃は、かなりの痛みを伴っていた。

「お前……それ本気で言ってんのか?」

 静かな声で、茂武市が問いかけてきた。
初めて見る、茂武市の真面目な顔とその声に、計佑は何も言えなかった。

「『からかってるだけ』だと? どんだけ失礼なんだよお前。先輩の気持ちなんざ分かりきったコトだろーが」
「…………」
 
 俯く事しか出来なかった。
 昨夜、雪姫にさんざん恥ずかしい真似までさせて、ようやく理解できたような自分に、言い訳できる筈はなかった。

「そして、『尊敬してるだけ』だと?
お前まさか、自分の気持ちすらわかんないとかぬかすんじゃないだろーな」
「…………」

 やはり、無言しか返せなかった。
茂武市に責められて、改めて自分の不甲斐なさを思い知らされていたから。

「…………」
「はー……マジかよお前……」

 無言を貫く計佑に、茂武市がため息をついた。ガリガリと頭をかいてから、あらためて茂武市が口を開く。

「……一昨日の夜の事件のことだけど」
「…………?」

 何の話を始めるのかと疑問に思い、計佑はようやく顔をあげる。

「……例えば。例えばだぞ?
攫われたのがオレだったとして、お前あんなに必死になって助けにきたか?」

 予想外の喩え話に、思わず引いてしまう。

「……ケツ掘られそうになってるお前のとこに飛び込んでこいって、それどんな罰ゲームだよ……」
「茶化すなっ!!」

──ドムッ。

 茂武市の拳が、計佑の腹に軽く沈んだ。
決してそう力はこもってなかったが、今の少年には、それでもかなりの衝撃だった。

「……おっ……おま……あばらっ、折れてるのにっ……」
「あっ!? わりっ、つい……!!」

 正直地面に膝をつきたくなったが、身体を深く折り曲げながらもどうにかこらえる。
 茂武市はそんな少年を気まずそうに見下ろしながらも、コホンとわざとらしく空咳をつくと、また話し始めた。

「まっ……まあさっきのは喩えが極端だったな。じゃあ対象を須々野さんや、カリ姉に置き換えてみたらどうだよ?」
「え……?」

──もし須々野さんや森野先輩が攫われていたとして……? ……そんなの──

「助けに行くに決ま──」
「まあお前なら、やっぱり同じように身体はってたかもしんないけどな」

 計佑に最後まで言わせず、苦笑しながら茂武市が割り込んできた。

「なんだよ……一体何がいいたいんだよ?」

 白井先輩だろうと、須々野さんだろうと、森野先輩だろうと。
誰にしたって自分の
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