第二章
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けながら。
「スロバキアに帰るって言ってるわ」
「そう、祖国にね」
「プラハは好きだけれどそれでも祖国はそこだから」
スロバキアということだった。
「だから帰るって言ってるわ。もうね」
「帰るの。お義父さんとお義母さんは」
「それで周りの人が言ってるらしいのよ」
話がここで動いた。
「私も。スロバキアに帰ったらどうかって」
「スロバキアに?ってことは」
「貴方はチェコ人じゃない」
このことは隠せないことだった。エディタがスロバキア人であるのと同じように。それはどうしても隠せない確かな事実であった。
「だから。一緒にいるのはどうかって」
「そうなの」
「私はスロバキア人」
自分でも呟くエディタだった。
「これは事実よ。隠せないわ」
「そうだね。それはね」
ペテルも頷くしかないことであった。
「けれど僕は」
「私も。けれど私は」
どうしてもなのだった。チェコとスロバキア、二人の国はそれぞれ違っている。このことはどうしても消せなく隠せない。何を出そうとも。だからこそ今この国は分裂しようとしているのだ。
「少し考えさせて」
「どうするの?考えるって」
「旅に出たいわ」
またここで俯いてしまうエディタだった。
「少しだけ。祖国を見てくるわ」
「スロバキアに行くんだね」
「一人でね。行って来るわ」
それが彼女の考えなのだった。
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