7部分:第七章
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ませんよ」
「わかっているんだがな」
歳を取りやはり相応に弱いところも見せるようになってきていた。
「いかんのう。どうしてもな」
「お爺さんはまだ大丈夫ですよ」
そんな夫に対してあえて笑顔でまた言うのだった。
「まだまだ」
「大丈夫か」
「それだけ動ければ大丈夫ですよ」
言葉をさらにかける。
「それより。明日のことを考えて」
「ああ、そうだな」
笑顔に戻って妻の言葉に頷くのだった。
「明日も腕によりをかけてな」
「いつも通り」
「ああ、美味い蕎麦を作ろう」
やはり考えることと言うことはこれであった。
「頑張ってな」
「私もいますからね」
「そう。二人でな」
笑顔で言い合いそのうえで厨房を後にする二人だった。二人で作る蕎麦、それは確かに素晴らしかった。しかしそれができるようになったのは二人になってからである。それは彼等が最もよくわかっていることだった。あの時から。
夫婦蕎麦 完
2009・5・3
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