4部分:第四章
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する蕎麦屋である。今それをはっきりと見せてこれからのことに思いを馳せるのだった。
それから暫くはあの客の姿も見えず二人は普通に屋台をやっていた。だが蕎麦の評判を聞いてか客が増えてきて。前にも増して忙しくなっていた。
「あんた、ざる一丁だって」
「おうよ」
注文を受けた和栄の言葉を受けながら蕎麦を作っていく。
「今度はかけだよ」
「わかってるぜ」
応えながら素早くかつ見事な動きで蕎麦を作っていく。あまりにも忙しいので注文は和栄が受けている。そしてつゆやだしを入れるのも彼女がやっていた。
「薬味を入れるのはこれでいいよね」
「おうよ、そうだよ」
かけに入れられている葱を覗いて答える。
「それだけ入れればいいぜ」
「あいよ、じゃあ出すね」
「葱は少ないと駄目なんだよ」
彼はこう女房に告げた。
「少ないとな。けれど多過ぎても駄目なんだよ」
「蕎麦を生かす為にだよね」
「そうだよ、その通りだよ」
女房の言葉に頷いてみせる。
「蕎麦は生き物だからな。加減が大事なんだよ」
「わかったよ。それじゃあ」
「しかしおめえよ」
あらためてその蕎麦を見ながらまた言う。口を動かしているが手も動かし続けている。
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