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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―我/汝、悪である― B
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うものが存在するとは!』
アジ=ダカーハは自らの心臓を貫く、既に鈍色の光も消えている一輝の手を見ながら、晴れ晴れとした笑顔でそう言い放つ。
「・・・何、ありとあらゆる世界で悪を背負うお前とは比べ物にならねえよ。たったひとつの世界、そこで高々六十二代の悪を積み重ねた程度だ。・・・それでも、
絶対悪
(
おまえ
)
を受け止める地盤には、十分だ。」
『・・・我が屍のうえこそ正義である。外道、お前は十分に正義だ。』
「悪いが、それを受け入れてもまだ俺は外道、悪を背負う神霊だよ。・・・だからこそ、俺が認めてやる。」
だんだんと崩れ、その端から輝く霧となって一輝に封印されていくアジ=ダカーハにそう告げた。
「神の一人として、お前を許す。悪に敗れた悪なんて格好のつかないものではなく、悪に滅ぼされた正義があることを。誰か大切に思った人のために、“絶対悪”という最も重い人類最終試練を背負ったお前にも一つの正義があったことを、俺が保証してやる。」
『・・・ハハハッ。まさか、まさかこの私が正義を保証されることになるとは!それも、私を倒した勇者に!』
ひとしきり笑ったアジ=ダカーハは、今度は己を貫くのとは逆の手、一輝が先ほどまで疑似創星図の大鎌を握っていた手を握り、告げる。
『では、私も教えておこう。世界の全てより忌まれる悪を背負い、さらに悪でありながら悪を討とうとするその意思。それが覚悟だ。』
「それはそれは。常々ほしいと思ってる物の一つだ。それがあるって言われる・・・それも、神からあるといわれるとは。うれしいね。」
『さらに、私という悪まで自らに取り込もうという。そうまでして業を重ねるか、鬼道一輝よ。』
「それが俺の力になるのなら、いくらでも重ねてやるよ。それがそのまま、俺の大切な人を守る力になる。」
『そうして得た力は、いずれ身を滅ぼすことになるやもしれんぞ?』
「その時はその時だ。・・・いっそ、仲間に殺してもらってコミュニティの名前をあげてもらえれば本望、かな。」
その言葉を聞き遂げると、アジ=ダカーハは線香花火の最後の炎のように燃え上がり・・・その全てを外道に封印されて、消えた。
深紅の布地の“絶対悪”の旗印はその紋様を変え、封印の鍵となった本来の旗印―――自由を象徴する少女と丘の旗印、“アルカディア”大連盟の物に書き換わる。
途端、火山が噴火したのではないかというような大歓声が起きた。
天地を揺るがす声は神仏だけではないのだと訴えるかのような雄々しい声が廃都を満たしていく。
生き残ったことを素直に喜ぶ者。
仲間が生き残ったことに涙する者。
喪ってしまった友を悼んで涙する者。
未来を達観して空を見上げる者。
千差万別の声が響く中で、鬼道一輝は・・・気を失い、“アルカディア”大連盟の旗印を掴んだまま
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