銃弾と砲撃
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「おっ……と」
――――――よろけた。
それを見たヒルダは溜息をつく。
口では大丈夫だと言っているが、左足を引き摺って歩いているのは事実。右手は脇腹の傷を抑える様に服越しに当てられ、表情にも疲れが出始めている。
「全く……何が平気だ。全然平気じゃないだろう」
「……バレた?」
笑うスバルにもう1度溜息をつくと、ヒルダは肩を貸す。
先ほどまで平気だと言っていたスバルだがやはり平気ではなかったようで、素直に肩を借りる。
「お前がこういう奴だという事は昔から知っているが…毎回呆れるな」
「未来の夫がこんなじゃ困るなー、って?」
「バッ……バカ言うな!お前が私の夫になる訳があるかっ!願い下げだそんなの!」
「うわー…そんな言い方ねーだろうよ。オレ繊細だから傷付くだろ」
「本当に繊細な奴は自分で繊細だなんて言わない!」
照れているのか怒っているのか、頬を真っ赤に染めて喚くヒルダをからかうようにスバルはくつくつと笑う。
心底面白そうに笑うスバルからふいっと顔を背けると、ヒルダは赤い頬を隠すように俯いた。
心の中で、更に喚く。
(…っこのバカスバルが!私の想いに気づきもしないでそんな事……この鈍感バカがーっ!)
飛んで、着地する。
“金牛宮”キャトルと睨み合うアランは、唇を噛みしめた。
―――――――忌々しいなんて言葉じゃ足りないくらいの幼少期を思い出しながら。
(あの魔法を使う覚悟さえあれば……だけど……)
“あの魔法”が全ての原因だった。
化猫の宿にいた頃からの仲間であるウェンディとシャルル、ココロでさえも知らない、アランの魔法。
隠している事には、それ相応の理由がある。
その魔法の事を思い出し口にするだけで幼少期の全てを思い出してしまう事が、何よりも嫌だった。
(僕にあの魔法を使う資格はない。あれの事を考えただけで怖がる、僕には……)
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