銃弾と砲撃
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くらいにはっきりと聞こえる声は、楽しそうに告げる。
「アイツが片付けるって言ったんだ。だったらオレはそれまで自分の任された事をする」
言って、笑う。
少し目を細めて、魔法弾の光に照らされながら。
「それが従者の仕事だって、昔っから教え込まれてきたんだよ。オレ達は」
黒髪まじりの銀髪が揺れる。
気づけば、彼の横にいるはずの藤紫髪の少女は姿を消していた。
それに気付くのと、すぐ近くで黒いコートが靡いたのはほぼ同時だった。
「だから、魔力が尽きるなんて事考えてるヒマはねえ。主の為に動くのが従者だからな」
先端に魔力の刃を備えたセルリヒュールを構えたヒルダは、魔法弾の嵐を器用に避けながらフレシュの目の前に現れた。
――――否、避けているのは魔法弾の方だ。
これほどの数の魔法弾の軌道を1つ残らず操っているスバルの顔には、疲労は無く笑みが浮かんでいる。
そして――――――ヒルダが、吼えた。
「機械仕掛けの神の撃!」
一瞬だった。
その攻撃が何であったか、自分は悲鳴を上げたのか、そもそも攻撃されたのかさえ理解出来ない一撃。
遅れるように痛みが走るまで、フレシュは攻撃を受けていた事に気づかなかった。
「フレシュ!―――――――きゃあああああっ!」
気づいたクラッベがボウルの中をかき混ぜるが、もう遅い。
フレシュに一撃喰らわせたヒルダは自然な流れでクラッベの前にも表れ、今度は無言で一撃。
カァン、と音を立ててボウルと泡立て器がクラッベの手を離れ吹き飛び、スバルの魔法弾がトドメを刺すように降り注ぎ、クラッベも倒れた。
「……ふぅ」
短く息を吐き、ヒルダは改めて前を見据える。
足元には倒れるクラッベ、振り返れば倒れるフレシュ。目線を上げればドサリと座り込むスバル。
空を見上げ大きく息を吐くスバルにヒルダは歩み寄った。
「大丈夫か?」
「平気平気。お前の幻影の砲撃のおかげで銃弾数誤魔化せたし」
――――――幻影の砲撃。
それは敵に攻撃を与えると同時に、術者が選んだ者に幻覚効果を与える魔法。
その効果を2人に与える事で、本当は少ないスバルの魔法弾を多く見せかけたのだ。
……とはいえ相当な数の魔法弾を放った事に変わりはないし、脇腹と左足の傷も放ってあるままだし、スバルの疲労は凄まじいはずだ。
「とりあえずウェンディのトコだな。治癒魔法で治してもらえ」
「大丈夫だって、この程度。心配しすぎだよ、お前は」
少しよろけながらも立ち上がったスバルは、ヒルダの額にコツリと拳を軽く当てる。
そしてそのまま歩き出し―――――
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