プロローグ
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め、輸入業者が倉庫の取り合いをしている案配で」
「さっき、殿先生が"花火"とか言ってたがなあ。それと関係あんのかね。あと、駄賃はいらないからユーキ君を拘束しといてくれない?」
Jud.、とシロジロが言った。
酒井は少し安堵して、三河の話を終える為に話を変えた。
「――で、何か噂になってんだが、トーリ、お前さんが告白するとか何とか……相手は誰だい?」
「ホライゾンだよ」
●
山の中腹に木造の建物がある。
"各務ヶ原"と書かれた警備の番屋だ。
武蔵の陸港と下の市街を結ぶ東側山岳回廊の傍、山側の関所を見下ろす位置に設けられている番屋だ。
その番屋にニ人、長銃を抱えて椅子に座っている三征西班牙の紋章を着けた赤い制服姿のニ人は、一人は山側を、一人は麓側を見ていた。
「――そう言えば、去年の今頃に幽霊がでたとか」
「俺の聞いた話じゃ百鬼夜行に人間が連れていかれて命からがら逃げ出したって聞いたけど……」
「怪異出まくってて、どれが真相で、どれが嘘なのかわかんねーなぁ……」
「俺が聞いた先輩の話じゃ、自動人形に囲まれた怪異が迷子になったとか訳の分からないこと叫んで消えたとか言ってたな」
二人は同時に一息吸って、ため息をはいた。
「今年は面倒事なきゃいいけどなぁ」
「そうですね」
●
山道、関所への道を酒井と正純は歩いていた。
「正純君はユーキ君が何か計画してるとか聞いてないよね? トーリが告るのに合わせて動きそうじゃん、彼」
「いえ、私は何も聞いてませんね。コクりの方も。大体、総長兼会長がいきなり告り予告の公言して教導院で騒ぐとか……。ユーキが、止めそうですけどね」
まだまだ、知らないことが多いなあ、正純君。
「どうだろうね。ユーキ君は正純君から見てどう?」
「どう? と聞かれても……。食事を恵んでくれたり、バカ達を叱ってくれる唯一の存在というか、なんというか……」
正純は少し、戸惑いつつも続けた。
「頼りになる奴だと思いますよ。ユーキが葵達の兄だというのが信じられない程に」
頼りになるか。
「まあ、普通はそう思うだろうね」
●
「ユーキ君さ、色々あって今は落ち着いた感じだけど、時々何考えてるのか手段を選ばない事あるから気を付けなよ」
「は?」
聞いた言葉を疑う。
酒井学長が、ユーキに対して気をつけろと言ったのだ。
「気を付けろと言われましたが、今のところユーキは正常だと思いますが」
「俺さ、――正純君もこっち側に来ると、面白いと思うんだよなあ」
酒井学長、よく意味のわからないこと言うんだよなぁ。
ユーキはまともな方だと思う。
いや、まだ私が知らないだけかもしれないが。
それでも、クラス連中
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