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不可能男の兄
プロローグ
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きの搬送物に紛れ込ませて武蔵に帰投。後は知っての通り、荷物を酒井学長が受け取ってこの話は他言無用。聖連からの物言いがなかった件だけど、うん。単純に、監視役が居眠りしてたんだよ。
監視役が気付いた頃には何も異常はなかった。つまりは、元信公が何かしら裏工作でユーキ君の三河侵入を無かった事にしたんだね。その辺の理由は――、って、聞いてないよね!」

話のオチは監視役の居眠りだ。その辺りから、ネシンバラの話を真面目に聞こうとする人物はいなかった。

「監視役の居眠りだけじゃないんだ。部下の殆どが、集団食中毒で下痢。当時の監視体制は信じられないことにその監視役一人だったんだよ……。普通有り得ないよ、こんなこと」

どうやって、その事を調べ上げたのか聞くと長くなると長年の付き合いで理解している皆はネシンバラを無視した。

「有り得ないって、ユーキ君が当たり付きアイス買うと三回以上は当たり連続で引くからねー。商人としてはやりづらい相手よ……!」

ハイディは悔しそうに言った。

「ウチの神社でおみくじ引いても大吉以外出たこと無いですからね。ええ、私の記憶が確かならここ十数年は大吉連続記録中ですしね――」

浅間は記憶を辿って、途中で止めた。
何故なら、激運はラッキースケベにも適応されるからである。
質の悪い事に、ラッキースケベは事故であったり、女性側の不注意が殆どの為、怒るに怒れないのだ。
この前も、躓いて転びそうになったところを助けられたのだ。
その際に、胸を鷲掴みされたが、転びそうになったのを助けてくれた上に、相手に悪気はない。
ふと、見渡すと女性陣が若干顔を赤らめていた。
皆、ある意味被害者なのだ。

「――? こんなところで座り込んで、皆何してるんですの?」

女性陣の先、校舎側から声がした。
全員が振り向くと、校舎の入り口から、ニつの影がやってきた。
酒井忠次と、ミトツダイラだ。

「よう」

酒井が手を挙げて挨拶をした。



「学長先生、三河の中央、名古屋までいくのかよ? よく許可が出たな」

トーリが笑みを向けながら言った。酒井忠次は、苦笑気味に表情を作り言った。

「昔の仲間の呼び出しでね。――十年ぶりだ。酒飲んだら帰ってくるよ。最近の三河は鎖国状態で悪い噂があるから、それに、トーリの兄に俺が利用されて三河にまた乗り込まれたら今度は聖連に見つかるだろうしねえ。マジ、勘弁ね」

と酒井がそこまで入った時だ。シロジロが手を挙げた。

「酒井学長、駄賃を払うので三河の流通を見てきてくれませんか。――去年はユーキがついでに見てきてくれてタダで済んだのですが、今年はそうも行きそうにないので。今年は何故か物資を殆ど買わず、売りに徹してます。入港前に更に大量の売り込み提示がされたた
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