プロローグ
[4/10]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。"新名古屋城"建てたおかげで町中に怪異が溢れてるから、怪異に迷わされたって事にしろってなってさ。侵入じゃなくて、怪異による迷子って感じでね」
武蔵は酒井のため息を聞いた。
「そんな三河にいる昔の仲間から"十年ぶりに顔を出せ"って言われてるんだよね。三河中央部、十年ぶりに行って大丈夫かね?」
●
――1638年 少女 ホライゾン・Aの冥福を祈って 武蔵住人一同
高さ五十センチほどの、花の飾られた碑石のその表面の一文だ。
「……ホライゾン。今日も来たよ……。弟は相変わらずここに来れないみたいだけどさ」
石碑の前、一人の少年が立っていた。
茶色の短めに整えられ、首元辺りからは束ねられた髪が腰上まで伸びている。笑っているような目。男の制服に身を包む葵・ユーキだ。
「……未練たらしくホライゾンがいなくなってから後ろ髪だけ伸ばし続けてるけどさ。まさに後ろ髪を引かれる想いってやつ?」
……誰も聞いてないよな?
「一年前、お前に似た自動人形が武蔵に現れたよ。トーリなんか、その自動人形がホライゾンだって根拠のない確信を持ってるみたいだけどさ。俺は、馬鹿な弟の言う事を信じてやらないといけないじゃん?
兄的に。だから、去年、ホライゾンの親にちょっとお話を聞きに行こうとしたけど、失敗したよ。お宅の娘さんに似た自動人形がいるんですけど何か知りませんかって、聞きたかったんだけどさ」
さすがに、無理だったな。
武器持ってたら襲撃だと思われるから無手で行けるとこまで行ったんだけど、十数体の自動人形相手に囲まれちゃどうにもならなかった。
とっさに迷子になっちゃったーっ! て大声で叫んで事無きを得たけど、二度は使えない大技だよなぁ。
その証拠に、
「今年も行こうと思ってたけどさ。酒井学長がマジ怒られしてさ、俺、三河に降りること禁止されちゃっててさ。どうしても降りたいなら許可を得るのと学長監視の元、一緒に行動するなら降りれるって、これってどういうことだろうね? 酒井学長ってホモなのか?」
あまり、考えたくない。さらに、手続きが面倒だし、三河の入り口までしか立ち寄れない。
それに、元信公に会えるわけでもない。
そして、表示枠《サインフレーム》には、臨時の生徒会兼総長連合会議の議題"葵君の告白を成功させるゾ会議"がネシンバラの提供で開催されている。
"武蔵"さんのスカートの中身確認でぶっ飛ばされて、"ぬるはちっ!"の初回限定を手に入れる為に並んでと、なかなか朝から忙しい弟だ。
泣きゲー卒業とは聞いていたけど、マジで契約結ぶつもりなのか。
「明日で、十年か……、区切りちゃあ、区切りだな」
――兄ちゃん、俺、ホライゾンに告りに行くわ――
誰よりも早くそれを聞いたのは俺だった。
――
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ