作者:波洵
『有り得ねぇ…』
周りから、顔の癖に落ち着いていると言われてきた少年も、今回ばかりは流石に狼狽えていた。溜め息ばかりが冷えた夜の空気に零れ落ちる。
学校帰り。季節は冬。ただでさえ冷え込んでいるっていうのに更に雨。突然の雨に少年、黒峰 ゼロは、整った顔を少しだけ歪めて雨宿り出来る場所、公園の屋根有りベンチに座り込む。
『ま、雨は嫌いじゃ無ぇけどさ』そう呟いて、制服の中から煙草を取り出し、さも当然の如く紫煙を肺に詰め、吐き出す。
普段は外で吸わないでいるが、たまたま今日みたいな[暇]な時や[嫌]な事があると吸ってしまう。
『これも一種の病気かね……』と、自ら金を出し、自ら身を汚し、自らの意思で寿命を削り落として行く。そんな自分を、少年は何処か嘲笑うかのように、口元を引き吊らせた。
『くだらねぇ……』
「嫌」な事は確かに有った。高校での進路希望プリントの配布。それが今日のHRで渡された。
高校二年生。もう先の事を考える時期。いや、遅いくらいかもしれない。就職か、進学か……。小学五年、ガキの頃から考えてきて未だに進む道を決められない不安とジレンマが、ゼロを苛む。
『マジクソくだらねぇ……』
連載中全 4話
▼ジャンル / キーワード
ファンタジー, シリアス, 友情, 異世界, 大学生
▼最終掲載日時:
2017/02/22 08:13
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