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2014年 12月 14日 (日) 22時 56分
▼タイトル
最近、忙しい理由。その6
▼本文
 さて、行き成り目標を達成して仕舞った……かに見えた我がギルド。しかし、現実はそんなに甘い物ではなかった。

 9月第4週。ギルド50位台。
 10月第1週。同じく、70位台。

 徐々に下がって行く順位。全体で50位以下に成るのは貰える報酬が悪くなるのでこれ以上、この悪い流れを続ける訳には行かない。それに、一番悪いのはこの状態が当たり前に成る事。
 確かに立ち上げてから間がないギルドなので、この状態は不思議な状態ではない。しかし、これが常態化して仕舞っては、其処から先。上位を窺うなどと言う事は出来なくなって仕舞う。

 そう考えながら、モニターに映っていたギルメンの一覧表から視線を外し、目の周りを軽くマッサージする俺。ずっと画面を見つめていた目は想像以上に疲れて居たらしく、瞳を閉じただけでも気持ちが良い。
 それに、この状態……妙に伸び悩んでいる状態を起こしている原因は判って居る心算でもある。
 そして当然、その解決方法についても……。

 目の周りを軽くマッサージしていた手を開き、片手で目隠しをするような形に変えた。少し冷たくなった指と手の平が心地良く、更に外界からの光と言う情報を意図的に遮断する事により思考をシャープにする効果も期待出来た。

 俺とギルマスは既に200レベルを超えて居る。それに、10レベル以上差を離されていたギルマスを追い抜くのもそう遠い未来の話ではないだろう。
 まぁ、俺は意識して自らのレベルを低い状態で維持していたのだから、その枷を外せばレベルアップは早い。
 そもそも無課金なのだから、レベルアップ時の全回復は重要。これを何でもない場面で訪れさせるよりは、ギルド戦時などに行う方が当然、効率良くポイントを稼ぐ事が出来るようになる。故に、俺は意識してそう言うタイミングでレベルアップを行うようにして来たのだ。
 その枷を外して仕舞えば、当然、レベルアップは早く成る。

 しかし……。
 画面に映る俺とギルマス以外のメンバーの能力……。
 9月の第3週のギルド戦の後、俺が二人。ギルマスは一人のメンバーをスカウトして来たのだが……。ただ、俺が集めたのは俺の今までの人脈から集めて来た人間などではなく、初心者。未だゲームに慣れていない、ギルドに参加していない人間をギルドに誘っていた為に、その二人がギルド戦の弱点と成って居たのだ。
 当初、俺は初心者を集めてゆっくりと育てて行く道を選ぶ心算だった。しかし、俺とギルマスの能力が高すぎて常に中堅レベルのギルドを相手にする事と成り……。

「これは独自の人脈を通じて、既にレベルの上がった。能力の高いメンバーを集めて来るしかないのか」

 微かな溜め息と共に、そう独り言をつぶやく俺。流石に初心者が育って来るのを悠長に待って居る余裕はない。まして、俺たちが今、ギルド戦で戦って居るレベルの相手とずっと戦わされていると、流石に心が折れて仕舞う可能性もある。
 最悪、そのまま放置にされる可能性も……。

「伊達にこのゲームを一年近く続けて来た訳ではない。そう言うトコロを見せるしかないのかな」

 ある種の諦めにも似た決意を口にした俺が、ギルドメンバー一覧を映していた画面から、別の画面へと切り替えたのだった。

 俺の決意とは一体何か。果たして俺とこのギルドの明日はどっちだ?
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