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2014年 09月 27日 (土) 22時 51分
▼タイトル
連続つぶやきSS:鬼、縁、そして翼D
▼本文
そして、檻までたどり着いた先には、一人の大人に、切り裂かれて床の上で息絶える女の人がいたのです。彼女は、大人に死んだまま辱めを受けていました。

少年はその余りに醜悪で残酷な光景に言葉を無くします。大人は少年の方を向き、その手に握られた血みどろの剣を見て悲鳴を上げました。男は背中に壁が当たるまで後ずさり、何かに駆られるように血走った眼で一方的に喚き散らしました。

オヤカタノモトカラ、ニガシテヤルッテイッタンダ。ソノカワリ、オレノオンナニナレッテ。ハロルドガキタンダカラ、カチメナンテアルワキャネエ。ダガ、オレトコイツダケナラダマッテニゲラレル。ナノニコイツ、オレトハイヤダッテイイヤガッタ。モウオレニモホカノオトコニモ、ダカレタコトガアルクセニ――

それ以上は聞くに堪えないと思った少年は、その大人の首を撥ね飛ばしました。

どうしてヒトは醜いんだろう。

どうして自分は今まで騙され続けていたんだろう。

どうして女の人は死んでまで弄ばれなければいけなかったんだろう。

そんな疑問を抱きながら――少年は女の人の亡骸を拾い、盗賊団の元を去りました。
少年は亡骸を空が良く見える丘に弔い、彼女が唯一身に着けたままだったイヤリングを形見として耳から外しました。そうすることで、彼女から知恵を受け取ったような気がしたからです。


数日後、魔物の大軍と戦うための国際会議が開かれる場に、全身黒ずくめの小柄な剣士が突然現れます。

少年は右手に指名手配された凶悪な盗賊の首級を、左手には「魔物の将軍」の首級を携え、会議に参加した国や種族の代表たちにこう言い放ちました。

「我が名はクロエ――我は罪を犯した鬼を儺(やら)い、ヒトの心が生んだ鬼をも儺(やら)う『鬼儺(おにやらい)』なり。我を認め、雇われよ。対価を支払うのならば、望む首級(みしるし)を貴殿らに与えよう……貴殿らがヒトであるかぎり」

それが、少年の出した答えでした。その耳には女の人から持ち去ったイヤリングが、少年の行く末を見守るように揺れていました。
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2014年 09月 27日 (土) 22時 53分
海戦型
▼タイトル
連続つぶやきSS:鬼、縁、そして翼D
▼本文(冒頭20文字)
「儺(やら)う」という読みは実在しません...

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