のつぶやき |
2014年 07月 08日 (火) 23時 35分 ▼タイトル 第二十一章の感想への返信 ▼本文 皆様から頂いた感想の中で返信できるものに返信いたします。 ・損害について 早めに集結にできたこと、アムリッツァが一方的な結果にならなかったことが原作より少ない被害で済んだ理由です。作中で触れる機会はなかったのですが、撤退戦で前線部隊の三割近く、アムリッツァで参戦戦力(前線部隊の生き残り+総司令部直轄部隊)の三割近くを失ってます。記述の一貫性を保つために全艦隊の損害計算表を撤退戦、アムリッツァの両方で作ったのですが、これは作中で小出しに使ってます。 ・ダーシャについて 本作の最大のテーマは「喪失と再生」です。前の人生で失ったものの再生が今の人生。そして、これから今の人生で失ったものを再生するための戦いが始まるのです。帝国領遠征の敗北、そしてダーシャの死は物語の二度目の始まりと位置づけております。 銀英伝二次の名作には主人公が勝ち続ける話、敗北を回避する話が多いので、自分はあえて敗北から再生する話に取り組んでみたいと考えました。 ・派閥と国益について 国益を犠牲にして派閥の繁栄を図るのは間違いですが、派閥の繁栄抜きの国益も存在しないと私は考えております。派閥が生み出すパワー(人材、資金、権力)などがなければ、国家を動かすことはできません。国家を動かせない人は、国益を図る土俵に立つこともできないでしょう。ですから、作中では派閥の存在を空気や水のような前提として書いております。 ・ルフェーブルについて ヤンともトリューニヒトとも疎遠な有力プレイヤーがいれば、物語に広がりが生まれるのではないでしょうか。ヤンとラインハルトとフェザーンの画策だけで動いてる世界ではないということです。 改めて確認いたしますが、本作においてはヤンもラインハルトも大勢いるプレイヤーの一人に過ぎません。感想欄でラインハルトがすべて一から十まで仕組んでいて、ロボスなどは完全に騙されているかのような推測をなさる方を見かけますが、本作はそのような世界ではありません。また、ヤンと仲良くした程度で動かせる世界でもありません。 ロボス暗殺未遂に関しては、想像に任せます。 ・エリヤの出世速度 ルフェーブルが挙げた例は、同盟軍でもエリートの部類に入る例です。ブレツェリ准将なんかは大佐になるまでに三〇年以上かけてるはずですが、これでも非エリートではかなり早いです。エリヤの昇進速度は尋常では無いですね。 ・同盟世論について 原作に書かれた戦犯の処分が異様に軽いので、軍部は相当断罪に抵抗したんじゃないかと思いました。グリーンヒルやキャゼルヌは軍法会議かけられないのが不思議な立場です。 ・血を流すことについて 「血も流してないくせに戦争を煽るな」論の最大の弱点は、「じゃあ、戦場に立つ。最前線で血を流しながら戦争煽るわ」と言われたら、手も足も出なくなることですね。ヤンの論理では、無責任だけど自分の血を流すことも厭わない人間を否定出来ないのです。 ・トリューニヒトについて 原作中ではすんなり権力を握れたように書いてますが、そんな余裕がある人が憂国騎士団や地球教のような怪しい連中と手を組む必要はないと思うんですよね。一部に激しい拒絶反応を起こしそうな扇動演説をする必要もないと思うのです。「トリューニヒトは権力握るまでに、かなり無理をしたんじゃないか」。そんな疑問が本作中のトリューニヒト像に結実しました。 ・軍法会議について このレベルの惨敗であれば、米軍は開きます。過失の有無、失敗点の厳密な洗い出しは軍法会議でないと検証できませんから。失敗したらしつこく原因を追及して予防策を講じるのがアメリカ流です。 ・エリヤの性格について まあ、そういう人なので諦めてくださいとしか ・トリューニヒトの性格について 第一にヤン視点の原作とエリヤ視点の本作では、見える部分が違います。誰が見ても同じように悪く見える人間なんていませんよ。 第二にトリューニヒトがあなたの言う悪事をはたらく段階まで話は進んでません。今の段階でそう見えないと言われても、話が進むまで待ってほしいとしかお答えできません。 ・ラインハルト配下の練度について 原作ではビッテンフェルトは接近戦に持ち込むタイミング間違ってるし、ミッターマイヤーはアムリッツァでヤンにあっさり痛撃食らってますね。どちらも二年後には絶対犯さないような凡ミスです。リップシュタットやラグナロクで使ったような高度な用兵も前哨戦やアムリッツァでは見られません。 キルヒアイスに関しても、四倍の戦力を率いながらヤンに陣形再編を許してますね。しかも、ヤンはキルヒアイスを食い止める計算まで立ててた。リップシュタットでの戦いぶりと比べると、どうも精彩を欠く気がします。 原作に沿った記述をすれば、練度が低いとみなせます。作中の説明は原作の描写に理屈付けをするためのものです。 説明がない、腑に落ちないとおっしゃるのであれば、それは私の力量不足でしょう。 ・ヤマムラについて あんなに間違いだらけの説明を自明のものと受け入れてる人ばかりなのが不思議だったので、突っ込ませてもらいました。そして、原作尊重の立場から、ヤマムラがあの説明をした理由と政治的必要性を後付で考えました。 ・文民統制について 文民の指導は政治的合理性を前提に行われるので、軍事的合理性を無視することも多いんですよね。ベトナム戦争では、文民が政治的合理性重視の指導を行った結果、軍事的観点では不合理どころか悪夢に近い指導になってしまいました。 確かに戦争は政治の延長なのですが、文民の政治的観点からの指導が軍事的にはわざと負けようとしてるようにしか見えない指導になってるなんて場合も結構あります。だからこそ、「戦争指導を軍人に任せたほうが結果として、政治的にも良い結果が出るんじゃないか」という意見も出てくるのです。軍事的合理性にまったく配慮できない文民に任せて負けてしまったら、政治的にも損しちゃいますから。 |