のつぶやき |
2014年 06月 14日 (土) 22時 26分 ▼タイトル 第十九章の感想に関する返信 ▼本文 感想欄に返信します ・同盟の権力者や軍幹部について 彼らは無能ではありません。作中で評されている通り、はっきりと有能かつ賢明です。ミクロで合理的な行動がマクロで不合理になってしまう合成の誤謬の結果として、あんなことになっています。ロボスも政治的な最適解を求め続けた結果、ああなってしまったのではないでしょうか。 ・同盟政治について 衆愚政治ではありません。複雑な社会において、あらゆる集団が自分の視野の範囲で合理的に行動すれば、総体としては不合理な結果が生じます。賢明故に失敗が起きます。 ・本作の視点について エリヤの一人称ですので、エリヤが実際に見た人物以外は伝聞によります。帝国軍の要人なども同様です。 ・本作のスタンスについて ラインハルトもヤン・ウェンリーも作中世界においては、常識を持っているという解釈で描いています。二人とも天才で変人ですが、組織人としてはきわめてまっとうです。内心はどうあれ、表面上では礼節を保てる程度の社会性もあります(現実社会では、この程度の社会性も持たない組織人も少なくありません。しかも、さほど有能でもないのに排斥もされずに順調に昇進します)。軍事や政治は常識を積み重ねる世界ですので、その天才であるラインハルトやヤンは当然常識人なのです。常識人でなければ、用兵の常識に囚われた凡将の思考を理解して逆手に取ることもできません。 ・アンドリュー・フォークについて 政治家と秘書の関係として捉えるとわかりやすいかもしれません。秘書にとっては、政治家の浮沈がそのまま自分の浮沈です。面倒見が良い政治家は口の固い秘書を大勢抱えています。 ・ドワイト・グリーンヒルについて 軍服を着た政治家の典型として描いています。たぶん悪意はありません。 ・帝国軍の艦隊運用について ビッテンフェルトは攻撃のタイミングを図るのが得意な提督のはずなのに接近戦に持ち込むタイミングを誤っています。ミッターマイヤーがアル・サレムを追撃した時には、速度を出しすぎて敵艦隊と艦列が入り乱れてしまうというミスを犯しました。リップシュタット戦役と比べると、帝国軍の提督の用兵は随分と雑なように感じます。その原因を本作では提督の経験不足、将兵の練度不足に求めました。 |