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2014年 05月 21日 (水) 01時 35分
▼タイトル
【書き殴り】もしも進藤ヒカルが女の子だったら!!【塔矢←ヒカル←和谷で悲恋】
▼本文
「はぁ、はぁ、はぁ……見つけたぞ……やっと見つけたぞ――進藤、ヒカル」
「美しい一局だった――悔しいよ、対局者が、何故僕じゃないんだろう」
「ボクはもう君から逃げたりしない――」
「進藤、君ほどの人が何故学校の囲碁部なんかに――もう碁会所には来ないのか?ボクは大抵あそこにいる」
「誰と打っても、君のことばかり考えている」
「君を待っている」
「進藤――! 何のために、プロになったんだ君はっ! ――僕と戦う為じゃなかったのか! 進藤ぉお!!」」



「段位と力は関係ありません、進藤を初段と思って侮らないで下さい!」

 碁会所のドア越しにそんな塔矢の言葉を聞いた進藤ヒカルは胸元をきゅっと握りしめた。
 塔矢アキラはあくまでも『碁』という物にストイックであり、ヒカルのことは所詮ライバルとしか考えていないだろう。
 ヒカル自身塔矢のことをずっと倒すべきライバルだと思っていた。

 その純粋な思いが変容していったのはいつの頃からだろうか――

 最初は塔矢に対し憧れのような感情を抱いていた。 本当の意味で真剣になったことなど無かったヒカルにとって、塔矢の真剣さは尊敬に値する物だった。
 やがて、佐為の棋力をヒカルの物だと誤解していた塔矢に真の実力を知られ『ふざけるなっ!』と怒鳴られた瞬間、言いようの無い罪悪感と、こいつを見返してやりたいという悔しさを感じ、その時からヒカルの中で塔矢はいつか超えるべきライバルとなった。

 そう、塔矢の苛烈な視線に射抜かれ、激しい言葉に、感情に晒されていた頃はまだ彼のことを越えるべきライバルだと認識していたはずだ。
 ならば、その認識が変容したのは塔矢にライバルであると認められ笑顔を向けられるようになった頃からだろうか。

 塔矢の中でヒカルが特別な存在であろうことは疑いようが無い。
 ヒカルと塔矢は小6の最後から中学卒業までという子どもと大人の境界――もっとも情緒不安定で感情の揺れ幅が激しくなる時にお互いのことを良くも悪くも強く意識しながら過ごしてきた。
 友情とはまた違った『ライバル』という関係故に。

 ――塔矢のコミュニケーション能力は低い。
 
 話す相手は皆塔矢の子どもっぽい所も可愛いと受け入れてくれる大人ばかり、また話す内容も話し方も相手の方が塔矢に合わせるのが当然。
 そんな塔矢であるから、ヒカルのようなあけすけな物言いをされたことなど無いし、自分の言葉をヒカルがどう受け止めるか等考えない。
 その塔矢の言葉の選び方や相手を思いやらず自身の感情をストレートに出し過ぎる物言いが、結果的にヒカルといううら若き花の15歳、まだ夢見ることが許される年齢の乙女の心を揺さぶることになった。

 元々、ヒカルの塔矢に対する感情は、佐為では無く自分を見て欲しい、認めて欲しいというというものから始まった。
 無事に認められ笑顔を向けられ、碁会所に誘われるようになり、食事を共にすることだってある。 家に招待されたこともあった。

 そう――激しい感情のぶつかり合いをしていた関係が、親しい物へと変化した時にふと気が緩み、ヒカルの『ライバル心』が『恋心』へと移ろった所で責められる者等居ないだろう。

 ――加えて、塔矢は『佐為』を見つけた唯一の相手だ。

 藤原佐為という異性の亡霊と共に過ごした三年半、ヒカルは一切の恋愛感情というものを知らずに過ごした。
 常に異性と共にいることでそういった類の感情を無意識に抑圧してしまっていたのだ。
 幸運にも佐為とヒカルの相性は非常に良く親密な関係を築くことが出来たため、その経験がヒカルの心に異性に対する心的外傷を与えることは無かった。

 しかし、二人は親密になり過ぎた。

 佐為が消えた時のぽっかりと心に穴が開いたかのような壮絶な喪失感はヒカルの心に大きな傷跡を残すことになる。

 ――すなわち、永遠の物など存在しない。 どんな大切な物もいつか消えてしまうかもしれないという不安、そして、佐為に出会う前は当たり前であった『一人』であるという孤独感。

 それらのトラウマを抱えたヒカルが塔矢へ抱いた感情は、年相応の可愛らしく純粋で単純な恋心などでは無い。
 ヒカルにとって佐為を見つけた塔矢は、佐為を失ったことで背負うこととなった壮絶な喪失感と孤独感を埋めることのできる唯一の相手であり、決して失うことのできない相手。 それでいて、いつかは消えてしまうであろう相手。
 それは複雑に感情の絡み合った先に生み出された妄執に近い恋心であった。

 そんな恋心を自覚した今、ヒカルが塔矢に対して一歩踏み出すアプローチをしかねているのは『いつか消えてしまう』という不安によるものだ。
 大切であればあるほど、失う恐怖は強く恐ろしい物になる。

 どうせ、塔矢は自分のことなどライバルとしか思っていない、今の関係であたしは満足だ――そう自分に言い聞きかせて切ない恋心を持て余しながらも塔矢の前ではただ理想的な碁のライバルで在り続けようとしていた。
 ただのライバルで在れば失う痛みも耐えられると信じて。

 しかし、そんなヒカルの心境を変化させる出来事があった。



「ねー和谷……塔矢ってさ、あたしのことどう思ってんのかなぁ……」
「……はぁ!?」
「いやだから塔矢って――」
「――あー、繰り返さなくていい! ったく、お前……今更それかよ」

 和谷のアパートで碁盤を挟み、何気なく呟いたヒカルの言葉に、和谷は呆れたようにため息をついた。
 つい先ほどまで機嫌の良かった和谷が急に不機嫌になり、ヒカルはムッとしたように唇を尖らせる。

「何だよ、ちょっと聞いてみただけじゃん……――で、今更って何が?」
「だから、今更は今更だろ。 ――塔矢がヒカルをどう思ってるかなんて傍からみてりゃ誰でも分かるだろーが」
「それって、もしかして、塔矢があ、あたしのことす、す、好きってこと?」
「何だ、分かってんじゃねぇか」
「ほ、本当に!? 皆してあたしのことからかってるとかじゃないよね!?」
「ん、もしかして誰かから言われたのか?」
「うん……あかりが、あ、幼馴染の友達なんだけどこの間久しぶりに会って――『塔矢君とどこまでいったの?』って聞かれて……」
「ど、どこまでって――」
「慌てて否定したらさ、絶対塔矢はあたしのこと好きに決まってるって……誰でもすぐに分かるって言われて。 それで奈瀬に相談したらやっぱりあかりと同意見でさ。 伊角さんも自信もって良いって言ってくれて――それで、一応和谷にも確認しとこーと思ってさ」
「一応かよ……まあいいや。 それで確認してどうするんだ?」
「それは〜……その。 ……どうしよう」
「だーー! ここまできてどうしようは無いだろ、まだるっこしい! 塔矢がお前のこと好きなのは確実なんだからさ、告白しちまえよ!」

 突然大きな声を出して立ち上がった和谷にヒカルはびくりと身体を震わせた。

「誰が見たって塔矢の進藤に対する執着っぷりは異常! 多分アイツの頭ン中は殆ど進藤のことで埋めつくされてるんじゃねーかな。 絶対に上手くいく告白に何ウジウジ悩んでんだ! そーだ、もう今から告白しちまえよ、アイツのケー番知ってるんだろ? 進藤からの呼び出しならすぐにでも駆けつけると思うぜアイツ。 つーわけで今から電話しろ、はい決定!」

 ヤケクソ気味にヒカルへ指を突き付けた和谷に対し、ヒカルはしばらく唖然と口を開いたまま固まっていたが、ハッと我に返ると頬を染め、慌てて立ち上がった。

「む、無理無理無理! 何でいきなりそういうことになるんだよっ! 皆して決めてかかってるけど、塔矢って結構ずれた所あるし、皆の勘違いかもしれないじゃんっ!」
「つーことは、やっぱり進藤もアイツのことが好きってわけか」
「……――え? っ、あ――い、今の無し! べ、別にあたし塔矢のことなんかっ」

 嵌められたことに気付き、わたわたと無意味な言い訳を始めたヒカルであったが、和谷に「意味のねー言い訳すんな!」とバッサリ一刀両断される。

「うぐっ」
「塔矢がまるわかりなのと同じくらいおまえが塔矢のこと好きなのもバレバレなんだよ。 ほら、とっとと携帯出せ!」

 結局、和谷の権幕に押され、ヒカルは心を決めかねたままに塔矢を呼び出すことになってしまった。
 場所は塔矢の碁会所の近くにある公園だ。
 和谷の言う通り、塔矢は何の用かと訝しみながらも二つ返事で了承し、待ち合わせ時間は30分後ということになった。

「うっし、そんじゃあくれぐれも逃げるなよ?」
「あー……なんでこんなことにー……」
「俺に相談したのが運の尽きだったな! ま、精々頑張れよ、結果は心配してねーけど」
「くっそー! 失敗したら責任とれよなっ」

 約束の時間に間に合わせるためバタバタと荷物をまとめ、和谷のアパートから出て行ったヒカルの背なかを見つめ、和谷はふと自嘲する。

「あーあ、俺、何敵に塩なんか送っちゃってんだろ。 ほんとバカみてぇ……。 ――責任、か。 そんなの、いくらでもとるさ、とらせてくれるんなら、な――」

力尽きた凹〇
長いは! くどいは! 所詮書き殴りクオリティです。
ここまで読んでくれた人いるのかな……いたら申し訳ないです。
ああ、見直ししてない一発書きだから誤字が酷そうだ。

以下短くまとめます。

 会話スキルの著しく低い塔矢アキラの言動に健全な乙女、ヒカルの(♀)心は惑わされまくり。
 最初はライバルだと思っていたのにいつの間にか好きになってしまっていた。
 それも、佐為を失ったトラウマまで複雑に絡みつき、執着に近い様な恋心。
 大切になりすぎると失った時が怖いから、「塔矢が自分のことなんか好きになるはずがない」とあくまでもライバルで居ようとするヒカル。
 でもあかりも奈瀬も伊角さんも和谷も皆して塔矢はヒカルのことが好きだという。
 そしてとうとう、和谷に無理やり塔矢へ告白することを強要され告白することになる。

 実は和谷は進藤に悲しい片思い中。

 というわけで、塔矢に思い切って告白した進藤であったが、本気にされず、挙句の果てには「ふざけるなっ!」と怒鳴られてしまう。
 あくまでも塔矢にとって進藤は生涯の碁のライバルであり、愛の告白を受けたことで恋愛感情などと言うくだらないものでその共に神の一手を極める道を歩むという神聖な関係性を穢されたように感じたのだ。
 それ(恋愛感情)はただの勘違いでは無いかとまで言われ、ヒカルは笑って「冗談だ」と言い謝罪する。

 塔矢と別れた後、どうすれば良いのか分からずとりあえず和谷のアパートへ戻る。 涙は流さない、意地でも流すもんか。
 しかし、和谷の顔を見たとたん涙腺崩壊。
 塔矢にどんなふうに振られたかを涙ながらに語り、自分の愚かさを笑うヒカルを不意に和谷が抱きしめる。

「進藤……ごめんな。 俺、今から卑怯な事する――好き、だ。 お前のこと、初めて会った時からずっと気になってて、知れば知る程――っ、かならず幸せにする。 愛してる――なあ、俺じゃ、駄目か――?」

 みたいな感じの告白。
 突然の告白に戸惑い、頭が真っ白になったヒカルは、混乱したままの頭でも懸命に考え、考えた末に――

「ごめ、ん。 和谷、あたし――ごめん……」
「そうか……こっちこそ、悪い。 でも、俺あきらめねーから。 あんな奴に進藤は渡さねぇ。 絶対に」

終われ
因みに冒頭は全てアニメ版塔矢さんのセリフです。
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2014年 05月 22日 (木) 23時 59分
Ardito
▼タイトル
【書き殴り】もしも進藤ヒカルが女の子だったら!!【塔矢←ヒカル←和谷で悲恋】
▼本文(冒頭20文字)
W.Ratedさんありがとうございますっ...

2014年 05月 22日 (木) 17時 27分
加賀さつき
▼タイトル
【書き殴り】もしも進藤ヒカルが女の子だったら!!【塔矢←ヒカル←和谷で悲恋】
▼本文(冒頭20文字)
ヒカルのTS物は大好きです。
こういう...

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