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海戦型さん
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2019年 03月 14日 (木) 01時 04分
▼タイトル
ネタ・転生モノ 「ゴブリンスレイヤー廃業す」1/2
▼本文
 
 アタシの名前は椎名(しいな)漣(れん)。気が付いたら神に殺されてしまっていた!
 という訳で特典貰って神様転生である。このワードだけで状況が説明できるってどんだけ使いまわされてるんだこのネタ。

「転生先はゴブリンスレイヤーの世界です」
「アカン」

 何を隠そうアタシは女。そしてゴブスレの世界はゴブリンが女を酷い目に遭わせる為だけの世界である(偏見)。まぁ男もだいたい酷い目に遭うのだが、元がTRPGなので物語に直すと微妙にご都合主義になってしまっているというのがアタシの印象である。
 眠り魔法とかそんな便利なモンあったら肉盾対策バカでも思いつくやろ、とか言ったらファンに殺されそう。あと個人的に疑問なのはゴブリン洞窟のクソ溜まりに松明掲げて入ったらメタンガスに引火してボッカンするのでは?という辺りか。これだから理系は、とか言われそうである。バリバリ文系だけど。

「まぁまぁ、特典つけるから。何がいい?」
「何がいいって……」

 まぁぶっちゃけゴブリンにレイプされない対策ならいくらでも思いつく。よくゲームで吸血鬼が使う無数のコウモリに変化とか、某海賊漫画の悪魔の実(ロギア系)とかがあればゴブリンには拘束不可能だ。後は物質透過能力かな。自分の身を守るのにこれ以上適した能力はない。
 しかし、正直そもそもゴブスレ世界は色々と人間が残念かつ魔物勢力の数が兎に角多い世界なので、自分だけ生き残る能力も周囲に人外視される能力も好ましくない。平和な生活など夢のまた夢。もっといい感じに便利なものないだろうか――そう思い、あっ、と思う。

「いやこれダメでしょ……いやでもなぁ。便利なのは間違いないし……でも、いやぁこれはちょっとヒドイのでは……」
「お、何よ何々?ゴイスーな案があるみたいじゃん。聞かせておくれーよ!」
「う、うん」

 ゴニョゴニョゴニョリラゴニニョリーナ、と神の耳元で自分のアイデアを告げた神は、あー、という顔をした。

「なるほどなー、なるほど……一応ゴブスレ世界の神々には試験的にチートキャラ送る件について一通り了承してるから問題はないと思うけど、そっれは正直かなり……まーいっか。あいつら他のどこの神より人間転がして遊んでるし、たまには痛い目出さないとね」

 あっけらかんとオーケー出た。意外と話の分かる神である。

 あたしの要求するチートは大したチートではない。ただ、とあるゲームのとあるアイテムを作れるというだけのチートだ。身体能力も異能もなく、ただそれだけの力である。ただし汎用性が高いので、使い方によっては十二分にバランスブレイクする力を持っている。

 アタシは転生した。そして割とすぐにそのスキルを用いてアイテムを作った。

「ううむ、作ったはいいけどこれ本当にいいのかな……?」

 原理としては極めて単純な手である。この世界に元からあるアイテムとして誤魔化すことが可能という点で有用で、将来的にも有用であるのは間違いない。しかしこの一手が成功するのであれば、下手をするとゴブスレ世界がゴブスレ世界でなくなってしまう。

 しかしわが身が可愛いアタシなので、ゴブリンに使う。
 うん、全部滅茶苦茶になる訳じゃないし神々もギリ納得してくれるはず。

 アタシは意を決し、ゴブリンの巣穴に向かった。奇襲が怖いので安物ではあるが全身鎧でがっちり固め、装備品も原作を参考にゴブ狩りセットを揃えている。当然ながら女の匂いを嗅ぎつけたゴブリン共が凄いスピードでゴブゴブ迫ってくる。

 外れても予備はあるができれば当たってほしい。アイテムの性質上、直線状にたくさん敵が来れば失敗率はかなり低くなるので群れで来てくれたのはありがたかった。

「食らえ必殺の投擲をぉー!!」
「GOBU!?」

 アタシのそれほど強い訳ではない腕力によって振り抜かれた投擲物――巻物は、巻物とは思えない程の猛スピードで飛来してゴブリンの顔面に命中した。

 そして――『その場にいたすべてのゴブリンが、ゆっくりと砂のように消えていった』。

「……いや、まだ成功したかわかんない」

 アタシはゴブリンの巣に突入した。
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