のつぶやき |
2019年 01月 04日 (金) 18時 00分 ▼タイトル 2278−4 ▼本文 「そうか。ともあれ、まずは……」 しっかりと配置につくようにしろ。 そう言おうと思ったのだが、その言葉を遮るように、唐突にパプア級が爆発する。 それも、明らかに何らかの事故で爆発したといったのではなく、外側から攻撃をされての爆発だ。 『なっ!? ちょっ、おい、イザーク、何があったんだよ!?』 いきなりのパプア級の爆発に、カイが戸惑ったように言ってくる。 少し考え、恐らく一番正解に近い答えを口にする。 「多分だが、ガンタンク隊の誰かが暴走したんだろうな」 基本的に中距離からの援護射撃を目的として開発されたガンキャノンと違い、ガンタンクは遠距離、それこそ戦闘が行われているエリアの外といった場所から援護攻撃をする為に開発された機体だ。 それだけに、当然その気になればまだ移動中であってもクレーターに向かって攻撃する事は可能だ。 その攻撃がパプア級に命中したのは、技量……というよりは、単純に運が良かっただけだろう。 最初はガンダムの攻撃かとも思ったのだが、ガンダムを操縦するアムロは一応実践を経験している。 そうである以上、我慢出来なくて攻撃をするといった真似をするとは思えなかった。 いやまぁ、もしかしたら実は普通にそういう事もあるのかもしれないが……ともあれ、現状では恐らくこれが実戦のガンタンク隊の方が可能性は高い。 「アムロ、聞こえているか? アムロ。今の攻撃はお前の仕業か?」 『違います! 僕じゃないです。イザークさんやカイさんじゃ?』 「そっちも違う。……やっぱり、ガンタンク隊か」 考えてみれば、向こうは3機もいて、さらに1機につき2人のパイロットが必要で、更にはガンナーには素人を乗せているのだ。 だとすれば、戦闘の緊張に耐えられず、もしくは興奮してしまい、全員が当初の予想位置に到着するよりも先に攻撃をしたというのは、理解出来ない訳でもない。 今回の作戦を立てたのはブライトやパオロといった面々であり、実際にその作戦案は決して悪いものではない。 それこそ、もし今回の作戦に参加したMSパイロットが全員ジオン軍のMSパイロット並技量を持っているのなら、その作戦は完璧に機能しており、シャアをここで倒す事も恐らくではあるが出来ただろう。……俺の個人的な事情としては、ここでシャアを倒されると困るのだが、それはともかくとして。 だが、ブライト達にとって最大の誤算は、やはり素人を本職のMSパイロットと同じように考えていた事だろう。 だからといって、リュウ、ジョブ、メリルのようにMSの操縦が出来るパイロットをガンナーに持っていくと、ガンタンクそのものがまともに動けなくなる……どころか、場合によってはホワイトベースに向かって突っ込んでいく可能性すらあった。 それを考えれば、今回の一件は仕方がなかったんだろう。 残る可能性としては、リュウ、ジョブ、メリルのうち2人を1機のガンタンクのパイロットとして使うのもあったが……その場合、ガンタンクという優秀な射撃戦力が減る事になってしまう。 ガンタンクが持つ低反動キャノンは、両肩に装備されているので1機で2門。 つまり、ガンタンクが1機しか出撃していない場合、本来なら6門の低反動キャノンが2門になってしまう。 ブライトやパオロといった面々は、恐らくその辺を考えたのだろう。 シャアを沈める為には、それが最善だと判断し……そして結果として、最悪の結末に辿り着いてしまった。 『おい、イザーク。どうするんだよ!』 焦ったカイの声に、どうするか考え……例え俺の個人的な思惑を抜きにしても、ここで攻撃をしないという選択肢は存在しなかった。 「もう攻撃してしまったものは仕方がない。攻撃しろ! ただし、まだMSが補給されていないだろうことを考えると、パプア級に攻撃を集中させろ!」 そう、通信で叫ぶのだった。 |