のつぶやき |
2019年 01月 03日 (木) 18時 00分 ▼タイトル 2277−4 ▼本文 一体何を言ってる? と思ったが、すぐに納得する。 どうやら、ここに集まっている軍人……いや、俺やアムロを含めれば軍人じゃないのもいるが、ともあれそのような者達の中でも、ルナツーを襲っていたのだがルナ・ジオン軍であるという事を知らない者もいるのだろう。 まぁ、ルナ・ジオン軍……というか、正確にはその背後にいるシャドウミラーがどれだけの力を持っているのかというのは、UC世界でならその多くが知っている。 そうである以上、当然の話だがルナ・ジオンが攻めているルナツーに近づくというのは、絶対にごめんだと思う者もいる筈であり……その辺りの事情を考えれば、事情を知っている者を最小限にしたいと考えてもおかしくはない。 いや、この手回しの良さを考えると、この考えはブライトじゃなくてパオロか? ブライトはまだ士官候補生という立場である以上、普段ならともかく、現在のような状況でその辺りの事にまで考えが回らない可能性がある。 そうなると、それを思いついたのはブライト以外の者となり、一番可能性が高いのはその年齢から長年の軍人生活を送っており、その上でホワイトベースの艦長を任されたパオロが一番可能性が高い。 「その辺は心配しなくてもいい。既にこちらに情報は入っており、私達が相手にするのは、あくまでもシャア達だけだ。……少なくても、向こうとそう話はついている」 「ちょっ、ちょっと待って下さい! 向こうと話が付いているって……一体、どういう事ですか!? もしかして、ジオン軍と何か取引でもしたって言うんですか!?」 軍人の一人が叫ぶと、他の者達もそれに同意するように頷く。 だが、ブライトはそんな視線を向けられても決して怯むことはないまま、首を横に振る。 そんなブライトを見て、俺は感心する。 士官候補生だという事で甘く見ていたのだが、実際にはこうして見る限り、大勢から向けられる、自分に対する疑惑の視線を真っ向から受け止めている。 それは、ブライトに艦長としての才能が……そして、人を纏め上げるだけの才能と胆力があるという事を意味していた。 「違う。……以前はしっかりと把握出来ていなかったが、ルナツーに攻撃を仕掛けていたのは、ジオン軍ではなく、月だ」 「月って……ルナ・ジオン軍!?」 ブライトの言葉に、ジオン軍を取引をしたのかといった風に叫んだ軍人は一瞬驚くが、それで終わる。 てっきりもっと驚かれると思ったんだが……やっぱり普通の連邦軍の軍人にとっても、あの演説はやりすぎだと思ったのだろう。 他に騒いでいた者も、不思議に納得したような表情を浮かべ……それを見ていたブライトは、やがて口を開く。 「そのような訳で、ルナツーを占拠したルナ・ジオン軍から通信があった。ホワイトベースがルナツーに来るのなら、それも良し。もしくは、来ないのなら追撃を仕掛けるような真似はもしない。だが、ジオン軍……シャアとの戦いにおいて、助力をするような事はない、と」 そう告げるブライトの言葉に、再び軍人達はざわめくのだった。 どうやら、取りあえずルナツーはルナ・ジオン軍の手によって占拠出来たらしいと知り、俺は安堵する。 出来れば、ルナ・ジオン軍の被害は少ないといいんだが。 そう、思いつつ。 |