のつぶやき |
2019年 01月 01日 (火) 17時 59分 ▼タイトル 2275−1 ▼本文 『うわあああああああっ!』 悲鳴を上げながら、カイの乗っているガンキャノンは爆散する。 これで俺の5連勝、か。 勝負がついたところで、俺はシミュレータから出る。 するとちょどそのタイミングでカイもシミュレータから出るが、その表情に浮かんでいるのは気落ちした様子だ。 まぁ、分からないではない。 最初の一戦は何が何だか分からないうちに遠距離からのビーライフルの射撃で撃破され、続いての戦いでも同様。 3戦目と4戦目では低反動砲を雨の如く降らし続け、それによって撃破扱い。 ならば今回はといった感じで挑んで来たのだが、結局は至近距離からビームライフルでコックピットを貫かれて撃破だ。 カイにしてみれば、それこそ全く良いところがないままに、何度となく撃破されたといったところだろう。 「強いな、お前。イザークだったか。やっぱり、実戦に出たから強いのか?」 不服そうな様子ではあったが、カイが俺にそう尋ねてくる。 一瞬どう答えるか迷ったが、そもそもの話、明らかに連邦軍の軍人ではない俺がMSを自由に扱っているのを見れば、俺がどこの人間かを予想するのは難しい話ではない。 ここで隠して、後でその意見が明らかになった時に面倒な騒動になるよりは、ここで大人しく答えておいた方がいいか。 「生憎だが、俺は元からMSの操縦が出来たからな」 「……ふーん」 俺の言葉に、先程とは違った納得しような表情を浮かべるカイ。 どうやら、今のは鎌を掛けたらしい。 いやまぁ、カイにしてみれば俺の存在を怪しいと思うのは当然だろうけど。 そもそもの話、連邦軍の軍人たるリュウですら、十分にMSを動かすような真似は出来ない。 だというのに、俺はガンキャノンを手足のように動かしていたのだから、その辺を気にしないという方がおかしい。 ……そういう意味では、俺だけじゃなくてアムロだった同じような感じなのだが、アムロの場合は前々からカイとは知り合いだったらしいし、そこまで疑う必要はなかったという事だ。 「イザークがMSの動かし方を知ってたって事は、もしかしてお前さん、ジオン軍……いや、違うな。月の人間か?」 ちなみに、最近ではルナ・ジオンという事を示すのに、月という言い方をされる事が多い。 まぁ、そっちの方が短くて言いやすいのは間違いないし、実際に月面都市はルナ・ジオンが占領したので間違いでもない。 勿論それは日常の話だけで、正式な場所ではルナ・ジオンと表現するのだが。 「正解だ。ああ、勿論俺だけじゃなくて、お前がご執心のメリルも同様だぞ」 その言葉に、意表を突かれたような表情を浮かべるカイ。 どうやら、メリルに関しては考えが及んでいなかったらしい。 ……女でもMSの操縦がある程度出来るという時点で、疑うには十分だと思うんだが。 この辺、女に甘いだけなのか、それともただ単純にそのように見せ掛けているだけなのか。 「言っておくけど、俺が月の人間だというのはブライト……このホワイトベースの艦長も知っている。あっちでガンキャノンの操縦をレクチャーしているリュウもな」 ブライトは正確には艦長代理であって、正式な艦長ではないのだが、取り合えずその辺は誤魔化しておくとしよう。 |