のつぶやき |
2018年 12月 28日 (金) 18時 00分 ▼タイトル 2271−3 ▼本文 メリルの前でそのような事を言われたのが恥ずかしかったのか、アムロはフラウの言葉を強引に止める。 「フラウ、止めろよ!」 「あ……うん、ごめんなさい、アムロ」 「こら。あまり女の子を苛めちゃ駄目よ」 フラウの残念そうな様子を見て、メリルがアムロに注意する。 もっとも、注意されたアムロは完全に自分が子供扱いされている事が、面白くない様子だったが。 自分と同い年くらいの俺がメリルには一人前の……それどころか明らかに目上の人物として扱われているのに対して、自分が子供扱いされている。 それが、アムロにとってはとてもではないが面白いとは思えないのだろう。 まぁ、自分が憧れている相手から子供扱いされるというのは、どちらにしろ面白くはないのだろうが。 ともあれ、フラウはアムロが怒ったというのもあって、そのままその場から立ち去り、俺達も若干微妙な空気ながらブリッジに向かうのだった。 「おう、お前さん達がMSのパイロットか。よろしくな」 ブリッジに入ってきた俺達を最初に見つけたその男が、人懐っこい笑みを浮かべつつそう言ってくる。 横にも縦にも大きいというのは、恐らくこういう事をいうのだろう。 恰幅のいい身体をしたその人物は、こっちに手を伸ばしてくる。 それが握手を求めているのだと知り、俺はその手を握り返す。 「俺はリュウ・ホセイ曹長。リュウと呼んでくれ」 ふーん、曹長か。 いわゆる、下士官という奴だな。 だとすれば、ブライトよりも純粋な軍歴は長いだろう。 ただし、下士官というのは士官教育をしていないという事になるので、艦長を任せるといった事は出来ないのだろう。 「ああ、よろしく。俺はイザーク、そっちはメリル。そしてそっちがアムロだ」 簡単に自己紹介すると、アムロが複雑そうな視線を俺に向けてくる。 アムロにしてみれば、俺とはあまり親しくないのだから、自分を勝手に自己紹介するな……といったところか? 「こんな危機に、お前達のような存在がここにいたのは、非常に助かる。MSの数も増えたし、次からは俺もMSで戦闘に参加する予定だ。……もっとも、俺は元々戦闘機乗りだから、MSはシミュレータでしか乗った事はないんだがな」 「ガンダムとかは既に完成していたんだから、実機で訓練出来なかったのか?」 「ああ。色々と理由があってな」 そう言い、言葉を濁すリュウ。 その様子から考えると、何かあまり人に言えないような理由なのだろう。 ルナツーで何かあったのなら、それこそタカ派の連中が原因という事も考えられるが……聞かない方がいいんだろう。 「さて、挨拶はその辺でいいな。これからのホワイトベースの行動についてだ。パオロ艦長やリュウとも相談して決めたのだが……一度ルナツーに向かう」 |