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2018年 11月 24日 (土) 01時 40分
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SF書きたい欲求がちょっと漏れました。

 = =

 循環型星間航行開拓移民艦『ガナン』へようこそ。

 ガナンは地球人類の文明至上初、かつ極めて大型の循環型移民船です。

 垂線間長100km、最大幅47km、常備重量240億t。

 これは宙歴207年時点の地球文明で最大、最重量です。

 内部には、数百年規模の宇宙航行を可能とする人類の英知が集結しています。


 また、ガナンはこれまでの星間航行艦と違う特徴が三つあります。


 一つ目は、着脱式防衛艦『アトス』『ボルトス』『アラミス』の存在。

 これは本艦の防衛機構であり、戦闘艦であり、航行システムでもあります。

 敵対的な外宇宙知的生命体との戦闘も想定された、全く新しい着想です。

 ガナンは一つの艦でありながら、艦隊でもあるのです。


 二つ目は高度再利用化により、無補給で100万人規模の人間が生活可能な居住空間です。

 総合的な生活機能は宇宙コロニーに匹敵し、一つの自治都市、或いは国に匹敵します。

 ガナン内部で生まれた人間には艦の人員としての教育と、適正に見合った役割が与えられます。

 ガナンの必須設備維持に必要な人員はおよそ3万人であり、船内での世代交代が可能です。


 そして三つ目が、人類史上初の原子変換装置を搭載している点です。

 特定の素材を任意に生産できる装置を備えたプラントは、まさに革命的です。

 離元動力による永久機関によって生み出される莫大な電力がそれを補います。

 また、万一離元動力に問題が発生したときの為の四つのサブ発電も完備しています。


 宇宙船であり開拓が目的であるという性質上、乗員の心身は完全自由とはいきません。

 しかしそれは、船員として一定の責任を持つという、本来集団にあるべき性質でもあります。

 既にガナン内部には機能テストとして30万人の人間が入艦し、20年が経過しています。

 その間様々な試行錯誤があり、我々の英知は発生した全ての問題をクリアしました。

 既に内部には第三世代となる赤子も出生し、一定の文化性を維持しています。

 もはやガナンが外宇宙航行艦としての果て無き旅に出る日も近いことでしょう。


 ……………。

 ……………。



「……ええと、なんだ。貴重な文化資料ってことでいいのかね、これ?」

 サルベージした情報を再生し終えた彼は、困ったように隣で作業する少女に声をかける。

「入艦後20年ってことはもう213年も前のことじゃない。化石ね。嬉しい人は嬉しいかも」
「じゃ、一応保管しとくか。しかしこれも秘匿情報じゃなかったかー……」
「もう2年は探してるけど、毎度こんなのね。どうせならもう少し具体的に古代地球人の文化が記録された資料とかないかしら。その方がまだ面白いわ」
「面白いもの探して調査してる訳じゃないでしょーが」
「どうせなら、よ」

 少し不機嫌そうに念押しした少女はまた作業に戻り、彼も作業に戻る。

 今現在、循環型星間航行開拓移民艦『ガナン』は地球型惑星の衛星軌道を周回しながら、惑星内の調査を執り行っている。既に彼らの同僚が何人も地上に送り込まれて居住可能か調査をしているが、惑星内に『訳の分からない』原生生物がうじゃうじゃといるため思うように調査が進んでいないようだ。

 そう、ガナンは長き時を経て既に移民艦としての本懐を遂げる作業に入っているのである。
 艦内人員は惑星に降り立った探査部隊を含め65万2334名。この人間たちが全ての祖となる。
 しかしながら、ガナンは今現在、相次ぐ謎に対応を追われ、さほど平和とは言い難い。

「地球からのハイパースペース通信が途絶え、ガナンの全計測器が想定外の異常を検知し、世界が真っ白になり、気が付いたら俺らは全く宇宙航行図にない惑星の前でボーっと立っていて、そしてこの状況に至ると同時に艦の設計図にない謎のペイロードが空きスペースやら機密室からゴロゴロと……」
「前々から艦に謎のペイロードがあるって都市伝説はあったけど、まさか居住空間にも偽装格納ポケットがあるなんてね。しかも古臭いデータばっかりで再構成に時間かかるし、下らない情報まで報告しなきゃいけないし……ねぇ、やっぱ地球は知ってたのかな?この異常事態」

 うんざりしたように椅子の背もたれに体を預け、少女が真面目な顔で彼を見つめた。
 彼は所詮この船で育ち、内部管理に回された、言うならば平凡な人間だが、平凡なりに考えることはある。

「知ってたか想定してたかどっちかまでは分からないけど、間違いなくデータはテスト時代に仕組まれたものだ。偉い人が関わってなきゃこんなの無理だよ。設計図まで偽装して組み込まれてるんだぞ?しかも全格納ポケットがプログラムに紛れてに巧妙に偽装されたウイルスで自動解放されるものと、手動でないと開かないスタンドアローンシステムの二重構造って、もう馬鹿かって思う。使われてる蓋、セラニウム合金だぞ?未だに最強金属って言われてる、300年前からあったあのセラニウム合金だぞ?」
「ガイストにだって最小限しか組み込めない希少金属がねぇ……ま、整備隊と開発隊は嬉々として取り外して加工してるけど」
「原子変換もバカみたいに電力食うもんな〜……さっきの紹介動画も結構話盛ってるよな」
「あーあ、もうワッケ分かんない。次のは……え、ウソ。光ディスクッ!?マジモンの化石じゃん!!あーもう、またガナンの設備でデータの抜き取れないモノが……」

 彼ら解析班の部屋は、既に古代のデータ読み取り装置を再現した機器が所狭しと並んでおり、今まさにその再現骨董品の数々に太古の新人が加わることが決定した。これも仕事、見なかったことにはできない。

「こんなのなら地上で調査隊入りたかった……」
「馬鹿いえ。この前知り合いに聞いたんだが、下の原生生物がディスパネ貫いてきたらしい」
「は?ディスパネ?機動鎧殻(ガイスト)の外装に使われてる、あの運動エネルギーを無理やりゼロにする物理最強装甲が?」
「そう、なんか角の周りだけ空間歪曲起こした巨大なイノシシにやられて危うく撃墜されかけたって」
「………ワッケわかんなすぎ」

 果てしなく謎で果てしなく危険な開拓は、まだ始まったばかりだ。


 = =


 
 循環型星間航行開拓移民艦『ガナン』の代表者会議は、重苦しい空気に包まれていた。

「……それで、艦民の影響はどうなっている?」

 重い口を開いたのは、ガナンの防衛を行う艦外活動組織『G.A.D?(ガド)』の総司令官、バライアン・D・スタンパー。軍人然とした厳つい風貌の男だが、義に厚く人望ある男だ。

 艦外での活動が主である彼らG.A.D?には内部の艦民に漂う空気感を正確に把握するのが難しいし、G.A.D?の戦力は殆どが内部から供給される物資やエネルギーによって成り立っている。任務を遂行するにあたって背中から撃たれるような事態は彼にとっても最も憂慮すべき事態だろう。
 尤も、多少の差はあれこの艦で生きる者たちにとって内乱(それ)は誰にとっても最悪の事態ではあるのだが。

 質問に答えるのは、艦民を治めていると言っても過言ではないガナン行政長、ヒュース・ホープライト。若くして艦内行政統括組織『ヴォルテール』のトップたる行政長に選ばれた優男はしかし、政治では辣腕を振るうキレ者で、年上相手にも容易には引かない精神力の持ち主だ。

「地球や他のコロニーとの通信が途絶したことに落胆した者もいますが、現在はむしろ居住可能惑星に対する関心の方が高まっています。もともと我々は地球を知らない世代ですし、ここ200年は完全無補給でやっていましたし、そもそも移民を目的とした艦ですからね。地球やコロニーに未練と呼べる程の繋がりを感じていないようです。ただ、それでも不安を抱える者や緊張に見舞われた人はそれなりにいます。もちろんカウンセリング等で対応していますが、問題なしと過信するには早すぎると判断しています」
「うむ。あの星――『リ・アース』の調査が芳しければ艦民も多少は落ち着こうが、浮足立つと碌なことがない」
「30年前のセンダウチ事件のことね。私が子供の頃の事件だけど、確かにあれは大騒ぎになったわ」

 三十代ほどに見えるメガネの女性が頷く。艦内治安維持組織『セキュリティ・ポリス』の長官と兼任で内調機関『公安0課』の長、シェリー・ラダマンティス・八坂だ。彼女の言うセンダウチ事件を目立った怪我人なく鎮圧できたのも、SPと公安0課の功績の一つである。

「センダウチ事件と違って現ナマが目で見えるからねー。見えるから安心するか、見えるから余計に逸るか。どっちにしろG.A.D?の続報を待つしかないってのは、もどかしいかもね」

 会議室のモニタに映る地球そっくりの惑星を眺めながら軽い口調で喋るのは、艦内の食料供給とマテリアル生成を担うプラント統括責任者、コットン。組織の長として極めて若手であるヒュースを以てして若すぎると言わしめるこの人物は、驚くべきことに12歳の少女である。これには様々な理由があるが、やはり一番大きいのは彼女の頭脳が極めて優秀だということだろう。

 艦自体を守り、艦外作業から星の調査、果ては敵対存在との戦闘を行うG.A.D?の総司令、バライアン。
 艦民を導き、不安を解消し、暴走を抑え、文明発展と秩序の維持を司るヴォルテールの長、ヒュース。
 艦の活動を脅かす不穏因子の調査や暴徒化した艦民を取り締まる内的な治安維持を行うSPの長、シェリー。
 艦と艦民の生活を維持し、電力をも供給している全プラントの統括責任者、コットン。

 そして、もう一人。

「我らが初の惑星開拓、やはり思うようにはいかないな。だがそれでこそやり遂げることに意義があるとも言えよう」

 この四人の意見を元に最終決定を下すこの船の最高責任者、艦長デヴィッド・セブンティ・ノア。まるで大航海時代の海賊の長のような仰々しい恰好に眼帯までつけている、この時代ではかなりマニアックな歴史好きである。

「さぁ、諸君。報告と提案を聞こう。我々の行動を決めるのはそれからだ」

 こうしてガナン恒例の『五長会議』の幕が切って落とされた。
 
▼返信[返信する]

2018年 12月 02日 (日) 23時 32分
海戦型
▼タイトル
試作品
▼本文(冒頭20文字)
とはいえ、この話は設定についてはマクロス...

2018年 12月 02日 (日) 19時 41分
sibugaki
▼タイトル
試作品
▼本文(冒頭20文字)
こう言った設定を思いつける人ってすごいと...

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